天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

質問返し その1 (2024-04-19)

趣旨:

yuyusuki.hatenablog.com

  • 本編
    • No. 1 (好きな人)
    • No. 2 (エロゲ)
    • No. 3 (ソ連史)
    • No. 4 (習い事)
    • No. 5 (ラノベ)
    • No. 6 (限界OSSメンテナのラノベ)
    • No. 7 (アニメ映画)
    • No. 8 (エイティエイト)
    • No. 9 (ロシア語学習)
    • No. 10 (信条)
    • No. 11 (ラジオ)
    • No. 12 (fediverse移住)
    • No. 13
    • No. 14 (遅いインターネット)
  • おまけ
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【全文公開】「紡ぐ乙女と大正の月」布教記事【Micare 2.5】

2023年の夏コミ(C102)で東京大学きらら同好会が出した合同誌「Micare 2.5」に、つむつきのレビュー・布教記事を書きました。つむつきの最終巻(4巻)が3月27日に発売されるので、これを記念して全文を公開します。

ネタバレはありません。


たったの2700字で量はショボいですが、それはそれとして我ながらそこそこ上手く書けてますね。「ブラインド Vol. 1」に寄稿したまぞくアンソロレビュー記事もそうですけど、こういうレビューと評論の中間みたいな文章が自分には向いてるのかもしれません。

ただし、2023年夏(たぶん7月)に書いたものをそのまま修正なしに掲載しているので、今となっては若干嘘の箇所もあります。当時は連載の話数からして2023年の秋か遅くても冬くらいには4巻が出るだろうと思っていたのですが、結局2024年3月になりました。最後に「もうすぐ4巻が出ます」と書いているのはそのためです。まあ、4巻発売直前にweb再録することでこの記述は†真実†になったわけですが。

また、着実に進んでいく作中の時間と明らかなタイムリミット(1923年秋〜1924年春)を照らし合わせれば、去年の夏時点でも終わりが近いことは明らかだったのですが、当時の私は5巻完結を予測していました。なので、4巻完結の事実と矛盾はしていないのですが、「この人は4巻以降も続くと思って書いたんだろうな」という文章になっています。

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【つむつき】東大医学部入試(1921) ドイツ語 解答・解説

これは東京大学きらら同好会 Advent Calendar 2023の10日目の記事です。


昨日の記事は、ひろみね氏による「妄アカクイズ」でした。

adventar.org




東大きらら同好会が2022年に発行した合同誌「Micare vol.2」には、「きららの中の東大」と題した記事が載っていました。最近きらら同好会のブログに再録されたので、そちらで読んだという人もいるかもしれません。

utkiraracircle.hatenablog.com

この中に、「紡ぐ乙女と大正の月」2巻に登場した「とびきり難しい」帝国大学の入試について書かれた部分があります。当時出題された実際の問題の解説にまで踏み込んでいて面白いのですが、ドイツ語の問題だけはDeepLで殴っているので解説がありません。

私は一応この本の校閲責任者だったので、合同誌の発行前に上の記事の内容も確認しています。そして当時も「ドイツ語の部分の解説が欲しいなあ、ちょっとだけでもいいから」と思っていたのですが、私自身にドイツ語の知識が一切なく、何もできなかった記憶があります。当時からずっとそれが心残りでした。


しかし、今の私は一味違います。「Micare vol.2」の発行から1年以上経って、ずいぶん成長しました。具体的には、ドイツ語が読めるようになりました。

yuyusuki.hatenablog.com

まあ、我ながら意味不明な学習方法だったとは思います。ドイツ語の教科書は一切読まず、発音だけ学んだ後にいきなり350ページある『これならわかる ドイツ語文法』を斜め読みし、最低限「インターネットの辞書があれば構文を把握できる」レベルに到達した瞬間からドイツ語論文講読の授業に突撃し、ドイツ語の論文を訳読しました。本当に意味不明ですね。でも私にはこれが一番適切だという確信があり、実際うまくいきました。

↓これは当時のドイツ語学習RTAの知見をまとめたメモ

hackmd.io

というわけで、晴れてドイツ語が読めるようになったことですし、この記事ではつむつきに出てきた入試のドイツ語問題を解説していきます。



なお、試験問題は以下のページから引用しました。「きららの中の東大」で参照されていた問題集は本文からウムラウトが全部消えていたのですが、以下の本では正しく表記されています。出た年度(と収録されている問題の年度)が違うだけで同じシリーズなので、おそらく組版段階の問題、たとえばウムラウト付き文字の活字が足りなかったとかそういう事故だと思われます。

dl.ndl.go.jp

問題

Wie aus Leblosem Leben entsteht, wie aus Lebendem Totes wird, ist auch ein Rätsel, das wohl niemals gelöst werden wird; doch das geht nur die Wissenschaft an. Aber das andre, die Frage nach dem Sinn und Zweck unseres Daseins, geht jeden Menschen an, der über sich und um sich blickt.

解答

いかにして生きていないものから生きているものが生じるか、いかにして生きているものから死んでいるものが生じるか、これらはおそらく決して解決されないであろう問題だが、それでも科学にのみ関係するものである。しかし、もう一方の、我々の存在の意義と目的に関する問いは、自分自身やその周囲に目を向ける全ての人に関係するものである。

解説

Wie aus Leblosem Leben entsteht, wie aus Lebendem Totes wird, ist auch ein Rätsel, das wohl niemals gelöst werden wird;

並列されている2組のwie以下が節として主文の主語になっていること、そしてdas wohl niemals gelöst werden wirdがRätselを修飾する関係節であること、この2点を把握する必要がある。ドイツ語文法の基本である枠構造が分かっていれば問題ないだろう。

LeblosemとLebendemとTotesは名詞化した形容詞で(元はleblosとlebendとtot)、ここでは中性形の「〜もの」という意味で解釈するのが適切である。いずれも強変化の形で、順番に3格、3格、1格。
また、A werden aus B(3格)は「AがBから生じる」「BがAになる」という意味である(例:Aus Freundschaft wird Liebe. 「友情が愛に変わる」)。初見でも文脈を踏まえれば正しく訳せるだろうが、werdenを「(主語)が〜になる」とだけ覚えていると戸惑うかもしれない。
また、gelöst werden wirdの並びにも面食らったかもしれない。gelöstが過去分詞で、受身の助動詞werdenとセットで「解決される」。最後のwirdは節全体の主語(Rätselを意味する関係代名詞das)と直接対応する定動詞で、推量の助動詞と解釈すればよい。

doch das geht nur die Wissenschaft an.

定動詞は分離動詞an|gehen「関係する」。
解答では前に出てきたauchとこの箇所のdochをセットと解釈し、譲歩「〜ではあるが、〜」のニュアンスで訳した。

Aber das andre, die Frage nach dem Sinn und Zweck unseres Daseins, geht jeden Menschen an, der über sich und um sich blickt.

文全体の主語は同格のdas andreとdie Frage以下で、それに対応する動詞はさっき出てきた分離動詞an|gehenである。das andreの後にはRätselが省略されていて、前に登場したein Rätselと対になっている。(現代ではandreのような綴りは口語的とされ書き言葉で使われない傾向にあるが、100年前はそうでなかった)
なお、aberは並列接続詞なので「定動詞第2位」の法則に影響を与えない。der über sich und um sich blicktは前のMenschenを修飾する関係節。

unseres Daseinsはunser Dasein(「我々の存在」)の2格、jeden Menschenはjeder Menschen(「それぞれの人」)の4格。









明日の記事は、れんず氏による「同人ゲートウェイドラッグとしてのきらら同好会・考」です。

スロウスタートの新キャラクター名を考える

スロウスタートのキャラ名って苗字の1文字目が数字になってるんですよね。一之瀬花名、十倉栄依子、百地たまて、千石冠、万年大会。

ということは、この法則に従えば新キャラの名前を予測できるということになります。予測してみましょう。

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国会図書館に納本するまでが文フリです

文学フリマ東京37に参加したみなさん、お疲れさまでした。

私自身も2冊に寄稿したのですが、アニメ批評同人誌『ブラインド vol.1』も評論同人誌『ボーカロイド文化の現在地』も会場分は完売したということで、手に取っていただいた人には感謝の気持ちしかありません。私の文章目当てで買った人はさすがにいないだろうけど、広い会場のどこかには「私が寄稿していることが本を買う理由の1つになった」くらいに思っている人だって1人はいた、はず。いてほしい。いないかも。


いやほんとバカの人出でしたね。これじゃ文学フリマじゃなくて文学混ミマだよ〜〜〜

半年後の文フリ東京38では一般参加が有料化され、1年後の文フリ東京39は会場がビッグサイトに移るそうです。ここ数年の文フリで進行した変化の功罪についてはおそらくそのうち総括がなされると思いますが、いち参加者としては良い方に転がることを願うことしかできません。

しかしまあ、テキスト主体の本を書いて売る人とそれを買って読む人だけでビッグサイトってちゃんと埋まるんですね。数に本質的価値はないかもしれませんが、盛り上がりと熱気の中でしか生まれないものは確かにあると、少なくとも私は信じています。

現状の「文学」の力でビッグサイトを満員にすることは不可能です。
大塚英志「不良債権としての『文学』」 (「群像」2002年6月号)

それと、東京以外の文フリも活性化したらいいですね。「拡大傾向のせいで以前あった文フリの良さが失われている」みたいなぼやきをTwitterなどで時々見ますが、その点他の文フリは優良イベントだと思います。ただ、そうは言っても「目当てのサークルが出ていないから行かない」みたいなのはどうしようもないし、サークル側が率先して積極的に参加していくべきなのでしょう。知り合いを誘ってみんなでサークル参加する、これをいろんなジャンル・クラスタの人がやっていけば東京一極集中を緩和できるかもしれません。




さて、文フリが盛り上がれば盛り上がるほど、それが「文学」の世界に与える影響も大きくなるはずです。漫画研究者がコミケを無視できないのと同様、もしかしたら、数十年後に日本の文学や歴史を研究する人が文フリに興味を持つかもしれません。そういった人にとって、文学フリマが公式で出している資料、雑誌や本に載っているインタビューや特集記事はもちろん宝の山になるでしょう。しかし、文フリで発行されていた本を個別に閲覧できる環境があれば、当時活動していた同人作家やその作品、当時の文学的潮流などについて詳しく研究することができます。文フリ出身の有名作家も今後どんどん出てくるはずで、その人が初めて頒布した同人誌の現物があれば後世の人も研究がやりやすくなります。

文フリの見本誌は日本大学藝術学部文芸学科資料室に寄付されているそうです。ただ、見本誌が寄付され始めて10年くらい経つものの、資料がちゃんと整理されているのかは(私が軽く調べた限り)いまいち分かりません。大学の研究者ならひょっとすると閲覧できるかもしれませんが、アカデミアでの身分がない人が見に行くのは厳しいでしょう。オタク文化あるあるですが、在野の人が莫大な熱意で特定作家・作品について詳しく研究していたりしますよね。現状だとそういうのも難しいです。

そこで国会図書館ですよ。これはあまり知られていない事実かもしれませんが、国会図書館の使命は国内で発行された全ての本を集めることです。それは商業出版のルートを通ったものに限りません。そして、国会図書館なら普通の人でも蔵書を閲覧できます。昔の漫画雑誌とか、中古で出回っていないレアな単行本とか、そういったものも収蔵されていれば読めます。

www.ndl.go.jp

Q1:どんなものを納めなければならないのですか?
A1:原則として、頒布を目的として相当部数作成されたすべての出版物です。図書、雑誌・新聞だけでなく、CD、DVD、ブルーレイ、レコード、楽譜、地図なども対象となります。
また、社史・団体史等の自費出版でも、相当の部数を作成し配布されているものは納本の対象となります。ただし、ホチキス留めなど簡易綴じのもの、広く一般に公開することに支障があるものなどは、納本の対象とはなりません。


なので、1人のオタクとして、歴史研究を志す1人の大学生として、私から1つお願いがあります。

文フリにサークル参加している皆さん、自分の本を国会図書館に納本してくれませんか。




「何をすればいいか分からない」という人は「同人誌 国会図書館 納本」で検索すればいくらでも体験談や説明がヒットします。たとえば以下の記事なんか、いろいろな情報がまとまってて分かりやすいと思います。2部納本すれば東京の本館と関西館の両方に収蔵されます。

note.com

東京遠征のついでに直接永田町に持って行ってもいいですし、後で郵送してもいいです。交通費やサークル参加費に比べればかかる費用も安いですし、ちょっと手間ではありますが同人誌を出すのに比べればどう考えても楽勝です。

さらに、もちろん小説とか詩歌とかエッセイとかの同人誌も納本してほしいのですが、先行研究という概念がある評論・批評ジャンルは納本の重要度が格段に上がります。本当はインターネット上で読めたりすると理想的なのですが、ともかく国会図書館にあるというのは最低保証として魅力的です。











納本するのは義務なんです
納本するのは義務なんです
納本するのは義務なんです
納本ですか? 義務ですよ?