天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

私が特別尊いと思うキャラクター(特に女の子同士)の組み合わせについて

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本日、2019年5月からの元号が発表された。「令和」だそうだ。へえ。
まあ、それ自体はどうでもいい。万葉集が典拠だとか、その万葉集の文章は昔の漢籍古典を下敷にしているとか、そういうのも確かに面白いけど今ここで言いたいこととは関係ない。

きっかけは誰のどんなツイートだったのかはもはや覚えていないが、突然とんでもない電波が降ってきたのだ。

「令和ってカップリング名みたいだよね」

蒙を啓かれる音がした。無知蒙昧な我々に百合という光を与える、それが啓蒙である。



さて、先日「あんハピ♪」を見始めた。

雲雀丘瑠璃さんは私の好みの傾向に完全に一致しているし、キャラクター紹介(キャラデザ等)を見ただけで好きになるのがほぼ確実だと思われた。はたして予感は的中し、1話の時点で雲雀丘瑠璃さんが可愛すぎて悶えてしまい視聴続行を決意した。

ラノベやマンガやアニメといったオタクコンテンツにおいてキャラクターが果たす役割の大きさはオタク各位なら重々承知しているだろう。無論これはオタクコンテンツだけではなく、だいたいの娯楽小説において同じことが言える。

しかしながら、キャラクター単独で話が成立するわけではない。他のキャラクターとの関係性、ストーリー、シチューエーション。話を構成する他の要素との相乗効果により、キャラクターの個性は光を放ち始める。

ところで、これらのキャラクターの組み合わせに共通するものは何だろうか?

左に書いたのは私の好きなタイプなキャラ。タイプというだけじゃなくて実際好きだけど。つまり、クールな女の子。
そして右に書いたのが、左のキャラと同じ作品に出てくる対極の存在、天真爛漫だったりゆるふわだったり天然だったりする女の子である。



さて、前置きはこのあたりまでにしよう。実は前置きで半分くらい使ってます

クールで素直じゃない女の子と、ゆるふわ天真爛漫な女の子の組み合わせって、最高じゃないですか?



まず、対照的なもの同士を横に並べると映える、と思う。コントラストで双方の魅力が引き立つというのは別におかしい理論ではないはず。
残念ながら私はゆるふわ天真爛漫なキャラを好きになったことが皆無なのでなんともいえないが、この理論が正しければ、この2人組は「正統派ヒロイン」のファンにもウケがいいはずだ。

他にも、作劇上の要請というものもある。つまり、クールで素直でなく他人から距離を置きがちなヘタレヒロインをストーリーに巻き込むためには、積極的に人と絡もうとするキャラを配置するのが効果的だということになる。
それはもちろん男の主人公でも構わないし、実際にそういう作品も多いが、女の子同士の絡みが多かった方がよくない? ガードの固い女の子がグイグイくる女の子に攻略されて陥落するとこ見たくない? グイグイ仲良くなろうとやってくる女の子に戸惑う女の子見たくない? 「自分にはあの子しかいないのにあの子にはたくさんの友人がいる」と嫉妬する女の子見たくない?

2人の名前を決めずに「女の子」表記でやり過ごすのもさすがに限界にになってきたので、便宜的に、クールで素直じゃない女の子を怜、ゆるふわ天真爛漫な女の子を和としよう。
(怜って名前が好きなんですよ。今読んでる小説の好きなヒロインも怜ですし。天才クール美少女が好きな人におすすめです。https://ncode.syosetu.com/n0719eh/)


こういう2人組の魅力の1つに、あくまで私の感想だが、怜は見かけほど強くないし和は見かけほど弱くない、というギャップがあるのではないか。
普段はほんわかしている和を怜が助けている格好で、怜も「私がいないとあの子はダメだから」なんて思っているけれど、実際は和がいるから怜が救われているという面もあるわけです。和には素直な感情を吐露できるとか、和の前なら笑えるとか、実は和の人間としての暖かさに憧れているとか、そういうのはとても美味しいですよね。
和だって、ゆるふわしてるだけではなくて、ちゃんと怜のことを(他のことも)考えていて、ただのアホの子ではないわけで。怜が何でも一人で抱えこみがちなのを心配しているし、怜に「怜が冷たい人間じゃないのはちゃんと分かってるからね」とか言って、その的確な一言で怜を救ってほしい。

つまり何が言いたいかというと、世界を敵に回してでも愛しあう2人を見たい。誰か書いてくれないかなあ。
あとみなさん、この記事を読んで「あ〜わかるわかる〜〜」となったら、あんハピ♪を見ましょう。リトルバスターズ!の葉留佳ルートをやって、トゥルーエンドまで見て、エクストラの佳奈多ルートもやりましょう。シリアス多いけどハッピーエンドなのでちょっとの辛抱です。
多分俺ガイルもハマると思うけど、そっちは私も未視聴なのでなんとも言えない。



性癖を語るだけで2000字以上使ってしまったのか……何やってるんだ、私……

2019年2月に読んだ本まとめ

3月も今日で終わりなのに、今さらこんな記事を書いている。不思議なことだ。

ところで3月に読んだ本まとめはいつ出るの? という質問が出そうですが、永遠に出ません。

1冊も読んでないからです。

いや、誇張じゃなくて、1冊も読んでないんです。



さて、気を取り直してやっていきましょう。

継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない

私が愛読しているWeb小説の書籍化。Web版はこちら。

kakuyomu.jp

主人公が現代文全国模試2桁位でヒロインが数学2桁位という設定になっており、タイムリーすぎて頭が痛かった。読んだのが模試の直後で、数学とか現代文とか爆死したので。
なんでラノベ読みながら「東大受かる気がしねえ……こいつらはカップルで仲良く受かるんやろなあ……主人公は微妙だが少なくともヒロインは受かるなあ……」とか思わなあかんねん。いやほんまに。(実際、数学それだけできれば東大くらい余裕な気がする。ちゃんと勉強して普通に受かる公立高校の秀才タイプっぽい)

最高です。模試の直後でなければもっと最高だった。

あとヒロインがミステリのトリックとかを日夜考えまくるタイプのミステリマニアで共感せざるをえなかった。私もよく脳内で不可能事件を起こして実行法を考えたりしてます。

ちなみにこの作者のデビュー作は後述する通りミステリなので、やっぱりヒロインに感情移入して書いてるんじゃないかと思う。

世界史を変えた新素材

「たまには科学読み物でも読むか」と思い立ったとき、一応化学徒である私は「有機化学美術館」で有名な佐藤健太郎氏の本を読むことにした。すぐ大阪市立図書館で予約したのだが、結構な人数が予約していたせいで、数ヶ月くらい待った気がする。

人類の歴史を文字通り変えるだけの衝撃を与えた材料の数々について書いている本なので、主内容は歴史ということになる。もちろんそこはそこで面白いのだが、私が感激したのは別の点だ。

読んでいると分かるが、この作者、一般に分かりにくい科学的なあれこれを比喩で説明するのが上手い。しかも科学的な正確さは保ったまま。一般人よりは多少化学に詳しい私が言うので多分間違いない。

まとまりがなくなってしまったが、良著なので是非。ただ筆者は別に歴史の専門家というわけではないので、そこらへんは考慮して読みましょうね。致命的な誤りはない気がするけど。

西欧の東

生まれたブルガリアで少年時代を過ごし、アメリカに引っ越して英語で小説を書き有名になり、自分でブルガリア語に翻訳して出版したら母国でも売れ……と、まさにブルガリアナボコフ(私が今勝手に名付けた)というべき作者による短編集。

どうも終わりが釈然としない短編が多かった。普段から娯楽小説のような起承転結がはっきりしている小説ばっかり読んでいるから、こういう雰囲気の小説を楽しめなくなってしまった……のかもしれない。
でも「レーニン買います」 と表題作の「西欧の東」はめっちゃ好きです。やはり現代が舞台の小説は読みやすい。

あと、ラキア飲んでる登場人物を見ながら(読みながら?)「ラキアってバルカンの象徴だよなあ」などと考えたりした。

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

「技術は進んでるんだから、今までのパソコンみたいなインターフェースに固執する必要なんてないし、もっと根本的なとこを自由に考えていきませんか?」みたいな感じの問題意識(多分)で書かれた本。「絶対に世界を技術の力で拡張しような」という心意気が大変よく伝わってきた。絶対に世界を技術で拡張しような。

あと、ここまで感覚をしっかり言語化できるのすごいなあ、と思った。

デザインには疎いので感想は以上です。間違いなく面白いんだけど、私の中で消化しきれていない感覚はあります。
デザインとかそういう作業をやるときにまた読み返す本リストに放り込んだので、またそのうち読めばもうちょっとまともな感想が出てくるんじゃないかな。

ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件

「継母の連れ子が元カノだった」の作者のデビュー作品。ラブコメのイメージだった作者から頭使いまくったミステリが飛び出してきたときの私の気持ちが分かりますか?

ストーリーも気にならない程度にはちゃんとしてたし、そもそもこれだけ壮大なトリックさえ考えればあとは雰囲気で細かい粗くらい誤魔化せるってもんです。
謎解きシーンになった瞬間明らかに込められた熱量が爆発してて、「この人めっちゃミステリ好きやろ」感がとても強く感じられた。

「肝心のトリックの核心が後出しでは?」という声はもちろんあるだろうし、私もそこを否定する気はありませんが、面白ければフェアだろうがフェアでなかろうがどうでもいいと思うのは私だけですか? (本格ミステリファンに刺されそうな発言ですね まあ私も本格ミステリ大好きなんですけど)

あと、ルドヴィカとエルシリアの関係が最高でした。お互いがお互いに対して因縁と割り切れない思いを抱えているわけで、巨大感情って最高ですね。完全に百合です。主人公は当て馬だしどうでもいいです。一応主人公の成長も描写されてたけど、ぶっちゃけ戦闘シーンいる? 感が否めません……
まあこれは個人の好みでしょう。

探検言語学

どうも普遍文法などの文法理論に興味が持てなかったのだが、先月読んだ「亡びゆく言語を話す最後の人々」は面白かったので、私は普遍性を追い求めるよりも個別の言語を研究する方が興味を持てるのかな、と思って借りてみた。

yuyusuki.hatenablog.com

ツンドラ、ロシア、危機言語、と私が好きそうな要素がてんこもり。

フィールドワークの裏話も面白かったし、言語学的な話もてんこもりで大変興味深かった。扱われている言語(チュクチ語、コリャーク語)は抱合語で能格言語とあまり馴染みのない文法体系だったので、読んでて「こういう言語が存在するんだ!」といった驚きと知的快感を得られた。

あと、この本を読んで言語類型論に興味が湧いた。言語類型論も言語の普遍性に目を向ける学問ではあるが、普遍性だけでなく多様性も重視するので個人的には楽しそうだと思っている。リンゼイの「言語類型論入門」を借りてみたので、多分来月読んだ本まとめに感想を書くと思う。……と思ってたら読めなかったよ

占星術殺人事件

あのゴッド・オブ・ミステリーこと島田荘司(と名探偵御手洗潔)のデビュー作。

某作品(金なんちゃらではなくグリなんちゃら)を知っていたので、2つ目の「読者への挑戦」の時点で6人殺しのトリックは分かってしまった。(某作品はやったことも見たこともないけど、ネタだけちょろっと知ってた)

何度読んでも「よくできてるなあ」と感心してしまう。「奇想天外の構想とトリック」というのも誇張ではない。できれば完全に無垢な状態で読みたかったかな……

中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立

私は本来ロシアが専門(大袈裟)で、中国には多少興味があるだけで大して詳しくない。
だから、IT系の話が好きな私はとりあえず中国のIT史でも軽く学ぼうと思った。幸い、Twitterで有名な中国ITライターが書いたいい感じの本が既に出版されている。

私が中国に興味を持ち始めたのはつい最近で、その頃には既に習近平体制が磐石となり、インターネットを含む各所の統制が強化されていた。
だから中国のインターネットというのはずっと検閲が厳しかったと勝手に思い込んでいたのだが、実はそうではなかった、というのがこの本で得られた中で一番有意義な知見だった。中国共産党がインターネットを野放しにしたことはないが、統制の度合いは時期によって様々だったということだ。

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす

有機化合物はとにかく多彩で、現在発見されている化合物の8割くらいを占めるらしい。それにそもそも人間は有機物の塊ということもあって、人間と(因)縁が深い物質はたいてい有機物だ。たとえば、人間にとって主要なエネルギー源であるデンプン、大航海時代幕開けのきっかけになった香辛料、嗜好品に含まれるニコチンやアルコールやカフェイン、そして現代の重要なエネルギー源である石油など。
この本ではそういう化合物が歴史にどう影響したのか、今後どうなるかを論じている。

「炭素文明論」というタイトルはちょっとキャッチーすぎる気もするが、内容はタイトルと反して地に足が着いているので問題はない。良書。

余談だが、この本の窒素の部分は若干無理矢理感が否めない。それまで有機化合物で通してきたのに、ここだけ無機化合物の話になっているわけで。
もちろん、デンプンから石油に至るエネルギー問題を語る上でハーバー・ボッシュ法は避けられないので、書きたいのは理解できるのだが。

セルツェ――心 遥かなる択捉を抱いて

択捉島に進駐してきたソ連軍(とソ連人民)と島民の話。諸事情あって読んだ。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (1巻)

確かに雪ノ下さんはかわいいのですが、まだ1巻なのにデレすぎでは? まあ相手がガハマさんなので許すけどさ。

というか1巻は内容がこんなにライトなんですね。私が知っている俺ガイルはめちゃくちゃ重いんですけど。不穏になるのは魔王が出てくるあたりから? 知らんけど。

独特なタッチの挿絵だな〜と思ってたけど、今の俺ガイルと同じ人なんですね。6年とか7年くらいあれば絵柄くらい変わるか……

ぼくたちの青春は覇権を取れない。——昇陽高校アニメーション研究部・活動録——

部長の幼馴染と生徒会長がかわいい。とにかくかわいい。生徒会長は敵役だけどそれが逆に良い。ただ私怨で権力振りかざしたりしてるのはさすがにどうかと思うし、いくらアニメ嫌いには事情があったといえども、そこから突然いい話っぽいまとめ方をされても、ねえ……

カクヨムに続編があります。こっちは生徒会長→部長←幼馴染という構図が強くなってて美味しすぎてつらい。嫉妬する馬越先輩かわいい。
部長は無自覚だし、生徒会長も無自覚だし、馬越先輩は微妙に自覚してるかもしれないけど認めようとしないし、永遠にまどろっこしい図が見れ(読め?)ますね。

kakuyomu.jp

ぼっち・ざ・ろっく!

陰キャなら「ぼっち・ざ・ろっく!」を読め!

端的に言えば「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりの奇行を楽しむ漫画。こんなのを思いつく作者の正気を疑うレベル。リプライに使えるネタ画像の名産地。とにかくテンポが良すぎる。ちなみに、ぼっちちゃん以外にもう1人ボケ担当がいます。こっちも好きなキャラです。こいつならマジでサウジアラビアのヒットチャート聴いててもおかしくない。

まあ、ここまでなら普通のネタ全振りな頭がおかしいきらら作品だが、それだけではなく、ちゃんと主人公の成長物語としてもいい話なのでみなさん読みましょう。
この本は(大部分に)ギャグあり(たまに)涙ありの王道のきらら作品なのだ。

あと、随所にジャケット画像のパロディが仕込まれているらしいのですが、残念ながら私はロシアのロックしか聴かないので一切元ネタがわからなかった。悲しい。あと登場人物の元ネタがアジカンらしい。アジカンの曲はRe:Reとリライトしか知らない……

ビジュアル音声学

見た目は取っつきやすいが、内容はかなりハード。この1冊をだいたい理解すれば基礎知識として十分そう。数学の能力は大して要求されないので、数学が苦手でも食らいつく心意気さえあれば読めると思う。

私の場合、2章の調音音声学の部分は80%くらい理解できた。3章の音響音声学はモデル化するところまでついていけたけど、具体的な音の音響特性を議論する部分でしんどくなって、残りは半分くらいしか理解できなかった。4章は内容が軽めということもあってだいたい分かった気がする。

言語(特に音声と関連する分野)とか音声に興味があるなら読んで絶対に損をしない良著。みんな読むべき。

おわり

「ミステリ書きたいな〜」ってちょろっと思ってしまってからというもの、すごいミステリを読むと敗北感に打ちひしがれるようになりました。まだ何もやってないのに気分はミステリ作家なの、人間の醜さとか愚かさをはっきり表してて好きです(きらい)

小説とか書ける人間は正直人間じゃないと思ってる。小説でなければ、例えば評論ならそこそこ書けるんですけど。このブログとかね。この記事は短文の寄せ集めですけど、ちゃんと全体の構成がある長文記事は書いたことあるし。


人生ってままならないもんだなあ

JOI2019本選参加記

前日

技術(プログラミング)系のフォロワー2人と神保町でカレーランチの予定だったが、雪で電車が怪しいのでポシャる。ぜんぶ雪のせいだ。絶対許さない。

↓参考までに、ふぁぼん東京遠征の輝かしい実績です

  • 言語のオタクと神保町のロシア書店ナウカに行こうとしたふぁぼん。朝早めに到着してナウカを視察するも日曜日だったので閉まっており死亡。そして道に迷い用事に遅刻。用事が終わった後に集まったオタクと仕方なく神保町の三省堂書店の語学コーナーで駄弁る。そして帰りの新幹線あたりから気持ち悪くなり大阪駅でトイレに駆け込もうとするも一歩手前で盛大に嘔吐し服を汚してしまう。診断は感染性胃腸炎
  • 御茶ノ水(秋葉原に近い)で技術書典の日に10時から17時まで軟禁される

ラーメンするオタクの仲間に入れてもらい、ことなきを得ました。

雪でオフ会が潰れるだけでも十分トラブルだと思うでしょう? 今回の波乱はこれだけじゃなかったのです。

1日目

本屋巡りin東京

早起きして新幹線に乗りました。

到着したら流れるように乗り換えをこなし、人混みの間を縫うように小走りして東海道新幹線を降りてから2分半で中央線ホームに到達し、ちょうど発車しようとしていた中央特快に滑り込みました。国際化学オリンピック関連の用事で何回も御茶ノ水に行ってきた経験が生きた形です。

しかも、御茶ノ水駅からナウカは既に一度(化学会の用事のついでに)行ったことがあり(でも閉まってた)、これまた流れるようにナウカに着きました。雪が結構降っていて大変だった。ちなみに、東京駅のホームに降りたってからナウカまで行くタイムは15分30秒でした。もうちょっと天気が良くて走ればもっと短時間で到着できたはず。RTAするな

ナウカの外観

人生初のナウカでしたが、マジで最高でした。一面ロシア語の本、ここが天国か。

コリャーク語やウドムルト語やエヴェンキ語やバシキール語といった名前しか知らない言語の辞書などが置いてあって胸熱でした。あと、「魔法使いの嫁」「よつばと」「GUNSLINGER GIRL」などのロシア語版が置いてありました。

とりあえず、「右ハンドル」のロシア語版を買いました。学生割引(1割引)してもらったので嬉しかった。あと「値引きありがとうございます」って店員(ロシア人の人)にロシア語で行ったら喜ばれたりしました。「1年ちょっとでそこまでできるの絶対語学の才能あるよ」などと激励までされてしまった……(お世辞でも嬉しい)
税抜2300円(税込2484円)のところを2245円でした。やったぜ。

記録によるとナウカで1時間ちょっと居座ったらしい。

その後、書泉グランデ東方書店にも行き、東方書店で「中華オタク用語辞典」を買いました。税込500円。中国語何も分からないのに……
(中国国鉄時刻表も迷ったのですが、金銭的な問題もあって買いませんでした)

東方書店の外観

そのまま行きと同じように御茶ノ水経由で秋葉原に行きました。

このときICOCAに2000円をチャージしました。こうすると帰りのつくばエクスプレスでお金が足りなくなって、乗り越し精算で残高をちょうど0円にできる計算です。前回の東京行きでICOCAの残高(mod10)が9円になってしまい、関西では運賃が全て10円単位なので使うに使えず困ってたんですよ。

そしてCOMIC ZINに行きました。

COMIC ZINの外観

「評論系の同人誌を多数扱っている」という前評判だったのですが、普通の二次絵系の本しかなくて「別の店と間違えたかなあ」などと思ってしまいました。もう一度入ってみると左に階段を発見。

2階に評論系の同人誌が大量にあって、何を買うか迷いました。結局「ZIP、完全に理解した」「Dive Into OpenType」「Connect」を買いました。技術系同人誌へのアクセスは技術書典とCOMIC ZINがある東京が突出していて、それ以外の地域では一切手に入らないので……

sanya.sweetduet.info

pentapod.booth.pm

RTAしたおかげで本屋に滞在する時間を作れたのは我ながらファインプレーです。東京駅到着から3時間で神保町と秋葉原を満喫できました。
その代償として5000円が吹っ飛びましたが……(全部本です)

普段のお出掛け先は図書館かジュンク堂メロブ、東京に行っても神保町と秋葉原の本屋……お小遣いの大半は本に消え、残りはラーメン屋に貢いでるし、さてはこいつ本屋とラーメン屋以外に行くところを知らないな?

オタクとラーメン

ガラケーイッタラーなのでリプを見るのが大変だったりDMが見れなかったりしました。まあ集合できたのでいいんですけど。

秋葉原UDXの中の「直久」という店で味噌ラーメンを食べました。醤油とかとんこつはいつも食べますが、味噌は何年ぶりでしょうか……おいしかったです。

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オタクとしゃべりながら(嘘です、内気なので会話を開始することができませんでした)つくばエクスプレスに揺られて筑波へ。別にエクスプレス要素はありませんが、快速列車はめっちゃ飛ばしますね。トンネルに入るたびに耳が痛くなりました。

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秋葉原の壁を穿つ「自由」の通路 冷戦終結の象徴

会場に到着

筑波ってロシアっぽい雰囲気がありますよね。イルクーツクに2週間いた私が言うので間違いないです。団地があるし殺風景だし、しかも今回は雪が降ってたり曇ってたり寒かったりしたのでなおさら。(あと、筑波大学で働いているとあるイッタラ大学人によると、筑波にはロシア語を喋る人が結構いるらしいです)

筑波の雪だるま

人々が案内板と違う方向に進んでいくので、てっきりスマホで調べた別ルートを通っているのかな〜と思っていたら、普通に誰も道を調べず適当に歩いていただけでした。ちょっと迷う。

あと、身分証明証を持ってくるのを忘れ、あわや失格という事態になりました。幸い定期券に名前が書いてあって参加が認められましたが……(これもやらかしですが、上には上があります)

「みんなのデータ構造」という本をもらった。めっちゃ嬉しい。

www.spinute.org

ラクティス

無理。

Rubyを書かせてくれたら一瞬で全部ACするのですが、いかんせんC++が全くできないもので、下手な外国語で議論するときみたいな気持ちになりました。解法は分かってるのに実装できない……あとググれないのがつらいですね。

全完を諦めて選手たちと駄弁る。

講演会

最後の肝心なところだけ寝てしまった。話題(プログラム検証)は面白そうでしたが……

立食パーティー

巻き寿司おいしい。ケーキおいしい。焼きそばやパスタもおいしい。
ひたすら食べ物を摂取していました。うおォン 俺はまるで人間火力発電所

自己紹介するべく前に立った瞬間「おっ??」「おっ??」って言われたり、紙にTwitterアイコンとハンドルネームとIDを書いておいたら多数の人に「あっ、ふぁぼんさんですかw」みたいな反応をされたりしました。強者として認識されていれば嬉しいのですが、恐らくはTwitter芸人枠ですね。そんなことで有名になりたくねえよ(知名度に見合うくらい強くなりたいと思う今日この頃です)

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名札代わりの紙ペラ1枚に載せると離席しても人の食器と混ざりません

Twitterの知り合いと無限に話をしました。

独房

筑波研修センターのことです。部屋の雰囲気が完全に独房なんですよね。

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9時の10分(15分?)くらい前に到着したのは良かったのですが、鍵を渡す段階で手間取ってました。みんプロ出る人大変そうだった。

atcoder.jp

エントランスにフリーWi-Fiアクセスポイントがあったのですが、全然繋がらなくて困りました。一度繋がったら大丈夫なんですけど。みんプロにフリーWi-Fiで出てた人、涙目。

あまり大浴場(大きくはない)が好きでないのでシャワーを使いました。2部屋しかないけど、まだ風呂がぎりぎり開いてる時間だったので誰もいなかった。

2日目

起床試験、そして会場へ

起床試験を無事にACしました。6時に目覚しを鳴らす人いますよね、朝食は6時半なのですが。
朝食も普通においしかったです。質素ですけど……刑務所の食事もこんな感じなのかな

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刑務所の朝食(大嘘)

あと、5階の洗濯機コーナーにロシア語の張り紙がありました。筑波やっぱりロシアじゃん(5階にしかなかったのでロシア人の客が勝手に貼っていったものだとは思いますが)

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「金属、ガラス、缶(燃えないもの)」

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「紙、プラスチック、燃えるもの」

貸切バスで会場に移動して、3階の控室に荷物を置いて、コンテストが開催される大ホールに行きました。

本選

1番と2番を通し、200点でした。

始まる前に、中2のときに参加した人生初のJOI本選で唯一解けた「スタンプラリー」(JOI 2015/2016 本選 問題・データの2問目)を思い出してノスタルジーに浸っていたのですが、今回の1問目がだいたい同じ解法の問題で驚きました。解法は1秒。なお実装は30分かかった模様。めっちゃ実装簡単なのに30分かけてるの雑魚か?

問題2は解けそうでなかなか解けませんでした。ぶっちゃけDPだと思ってたし、私はDPが全く解けないので諦めようかと思ったりもしました。
前から見てるとよく分からなかったけど、後ろから眺めると貪欲法でいけることに気付いたので実装してAC。ここらへんで2時間半が経過。

問題3は部分点の糸口すら掴めなかったのでスルーし、問題2を一時諦めて考察していた問題4に突撃。やめればいいのに……
貪欲法(嘘解法でした)を書いて1時間を使い果たしました。

昼食、解説

3階の控室にいらない荷物を預け、リュック(買った本、パソコン、充電器、など大事なものが全て入っている)だけ持って、2階で弁当を食べました。

個人的に幕の内弁当の類は微妙な味付けのものが多くてあまり好きではないです……まずいわけではないんですけど……

その後に隣の部屋で解説を聞いたのですが、眠かったです。

ふぁぼん、やらかす。

さてここから今回最大のやらかしに向けて盛り上がってまいります。

解説が終わり解散したあと、みんなが部屋を出ていくのを尻目に解説部屋でしばらく人と会話をし、そのまま駅に向かおうとしました。ところが、駅までの道を見ても、さっきあれほどたくさんいた本選参加者が誰一人として見えません。不審には思いましたが、そのまま駅に向かいました。

道沿いにスーパー(ヨークベニマル つくば竹園店)があったので、立ち寄って人生初のマックスコーヒーを91円で買いました。

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マックスコーヒーの棚

スーパーにいたのは10分くらいだったと思います。そして店を出て駅に向かうと、参加者たちとなぜか遭遇したのです。
本来なら、ここで「この人々は10分間いったいどこで何をしていたのだろう?」と疑問を持つべきでした。

人々とおしゃべりしながら駅に向かい、やってくる快速を待ちました。快速が来たので乗り込み、あとは発車を待つだけ。そんなときに、みんなが持っているJOIの盾が目に入ったのです。

「あれ、会場に盾忘れたっぽいぞ?w」

その瞬間は「忘れたwwwウケるwww」くらいの感想でした。ぶっちゃけ盾なんてどうでもいい。
しかし、冷静に考えると、服などを入れたボストンバッグもありません。こっちはどうでもよくない。全くもってどうでもよくない。

正直、悩みました。
今なら取りに帰れるけど、時間はだいぶロスするし、人々と一緒に帰れない。気付かなかったふりをすることもできるし、会場に忘れたのだからJOIのスタッフが発見してくれるはずで、紛失の危険性は恐らくない。そして電車がもうすぐ発車してしまうから迷っている時間はない。

結局、私は取りに戻ることを決断しました。「ボストンバッグは大きいので送ってもらうとお金がそこそこかかりそうだなあ」と思ったからです。社会は所詮お金なんですよ。
もっと軽く小さいもの、あるいはなくてもしばらく困らないものなら絶対取りに戻ってません。そういや以前(2年前?)、宿舎(独房)にタオルを忘れたことがありましたね……

人々に別れを告げ、会場まで10分の道のりを歩いて戻りました。ちなみに、この時点でも忘れた場所は思い出せていません。「多分会場のどっか」くらいの認識でした。ボストンバッグはもちろん3階の控室にありましたとさ。おしまいおしまい。

人々が会場を出るのが私より10分くらい遅かったのは、控室でゆっくりしていたからだったんですね。いや初めから気付けよそれくらい。

これで30分くらいロスし、秋葉原散歩の時間が消滅しました。まあCOMIC ZINにはもう行ったので特に用事はないし、散歩できなくても問題はないんですが。やっぱり散歩くらいはしたかったかなあ。

つくばエクスプレスにぼっちで乗ることになり悲しくなったので、せめて有益に時間を使おうと思ってこの記事を書いていたところ、めっちゃ酔いました。もうやだ。何もかもうまくいかねえ。1日目の本屋巡りが順調すぎた反動か?

ちゃんとICOCAの残高を0円にしました。勝利。

あと山手線でガルパを観測しました。湊友希那さん……

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大阪へ

のぞみ号の車内で筑波で買ったマックスコーヒーを飲みました。甘くておいしい。味はなんか午後の紅茶っぽい。

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原材料のとこにコーヒーより先に加糖練乳が書いてある

結果

219点あれば春合宿に行けた(かもしれない)というのを知ってちょっと後悔しています。1時間半あれば19点くらい取れたんじゃないの……

感想

楽しかった。あとTwitterにはバケモンしかいません。

これでJOI本選が最後だと思うとちょっと寂しいですね。去年夏の化学グランプリ予選落ちと同様、青春が終わったという実感があります。

JOI以外のコンテストは傾向的に苦手なので今後オンサイト等に参加できるかは分かりませんが、もしできれば参加したいと思っています。
実装が遅くてDPもグラフも解けないのどうにかせねば……

2019年1月に読んだ本まとめ

読書メーターブクログ始めました。キリが良いので2019年1月から記録をつけていこうと思います。

booklog.jp
bookmeter.com

なんか3500ページくらい読んだらしいですね。まあ大事なのはページ数ではないのですが。(読書メーターの記録だと3813ページなのですが、まともな歴史の本は後ろに出典がドバーっと書いてあるし、その部分がページ数に含まれている気がするので、実際には3500ページくらいじゃないかな、と思う)

B.C. 1177 古代グローバル文明の崩壊

大国ヒッタイトやミケーネ文明を崩壊させたという「海の民」。しかし、崩壊は本当に彼らのせいだったのだろうか?
最新の研究を礎に古代文明の姿、そして崩壊プロセスを丹念に検証する本。

まず、地中海地域やメソポタミアで大規模な交易が行なわれていたという事実を初めて知った。特に、ギリシャが交易圏に入っていたというのに驚いた。
そもそも私が古代史は学校の世界史の授業でちょっと教わったくらいで、まともに知らなかったので当然だが。

そして、大量の証拠や最新の研究に基づき文明崩壊の原因を考察する部分も圧巻。歴史とか考古学ってやっぱりこうじゃないとね。

読めば考古学がやりたくなる。劇物(最上級の褒め言葉です)

日露近代史 戦争と平和の百年

幕末・明治維新から第二次世界大戦終結までの歴史を日露関係から眺める本。

第二次世界大戦が始まってから終わるまでは多少知っていたが、大戦に突入する経緯はあまり知らなかったので勉強になった。
まあ、要は日独伊vs英米仏ソ中という構図が固まったのは意外と遅かったということだが。

あと松岡洋右いろいろすげえなあ……(褒めてない)

どうでもいいけど文体が若干苦手だった

記憶の政治 ヨーロッパの歴史認識紛争

yuyusuki.hatenablog.com

葉桜の季節に君を想うということ

ミステリの賞を複数受賞しているし、ミステリによく出てくる仕掛けはあるが、ぶっちゃけ評価が分かれると思う。メインの仕掛けがメインのストーリーと無関係だし、ヤクザ探偵時代の話も正直「これいる?」と思ってしまった。

ミステリとして読むと微妙な点は多少あるが、ミステリ要素ありのハードボイルド小説と考えれば十分楽しめると思う。

ソードアート・オンライン 5〜8巻

ファントム・バレット(5,6巻)、7巻(マザーズ・ロザリオ)、短編・中編集(8巻)。

ファントム・バレット編はシノン/朝田詩乃さんが出てきたので良かった。

8巻の「圏内事件」はちゃんとミステリになっていて良かったと思う。というか「葉桜の季節に君を想うということ」よりもミステリしてた。

同じく8巻の「キャリバー」も最強アーチャーことシノンさんが大活躍して大変良かった。シノンさんあんた最高だよ……

亡びゆく言語を話す最後の人々

地球には7000くらいの言語があると言われ、その大半が危機に瀕している。筆者たちは、危機に瀕する言語とともに生きてきた人々や共同体の声を伝えるべく、世界中を飛び回っている。

言語には、その土地の叡智が内包されている。地形、土地固有の動植物の種、気候や植生などの環境についての叡智が、独自の形で文法や語彙に織り込まれている。それに、口承で伝えられてきた物語だって、その土地の風土を反映している。それらの知恵はもっぱら口から口に伝えられるもので、文字になって記録されることはほとんどない。
そして言語が消滅するとき、自然界についての莫大な知恵も同時に消えてしまうのだ。



という感じの話が延々と続く。私は言語に興味があるので具体的な文法とか語彙の話も全部楽しく読んだけど、興味がないと厳しいかも。

ひたすら厳しい現状が記されているが、希望が持てる部分もなくはない。
いくつかの共同体の中で、自分たちの言葉を残したいという意識が高まっているという。そういう意志なしでは、たとえ外部の人が手助けしようとも、せいぜい言語の音韻・文法・語彙が論文に残るくらいで、言語の死は避けられないだろう。もちろん、意志があったからといってうまくいくかは分からないけど、技術の発展にともない取れる手段は増えているので、もしかしたらなんとかなる、かも。

スターリン批判 1953-1956年

私が勉強した世界史の教科書では、スターリンの死の次の行にはスターリン批判(フルシチョフ秘密報告)のことが載っていた。だから漠然とスターリンの死の直後にスターリン批判があったかのような錯覚をしていたのだが、よく考えるとこの間には3年くらい経っている。フルシチョフ秘密報告が突然あったわけでは決してない。
この本は、その隙間をちょうど埋めてくれた。この時期はポズナニ暴動やハンガリー動乱など様々な重大事件が起きたわけで、そういう事件とソ連国内の詳しい動きの関係(「横の繋り」)を理解できて非常に良かったと思う。

細かい評論をしようかな〜とか思ったけど、こういうページを発見したの貼っておきます。(ところでこれ書いた人は東京大学名誉教授らしい)

和田春樹『スターリン批判』を読む

要約すると「著者が一部の人間に共感ないし感情移入しているのは確かだが、一部の細かい点を除けば全体としてそこまで偏った叙述になっているわけではない」みたいな感じだと思う。完全に同意。まあ歴史家だって人間なんだから多少はね?

「記憶の政治 ヨーロッパの歴史認識紛争」感想

ロシア革命時の混乱の中で独立し、ソ連による併合、ナチス・ドイツの占領、ソ連による再占領という複雑な過程を経て1991年に独立(「再独立」)したバルト三国

まあこういうわけで、単純に割り切れないが故にロシアや西欧との間で歴史認識を巡って対立が発生する。歴史認識問題が政治の道具になるのは決して東アジアに特有の現象ではない。

ナチズム(ホロコースト)の悪を絶対視する西欧の歴史観スターリン体制とナチズムの両方を糾弾する中東欧・バルト三国歴史観ソ連から大祖国戦争史観を受け継ぎファシズムに対する勝利を誇りにするロシアの歴史観、などなど複数の歴史観が衝突している状況が詳細に書かれていて、「あーこれでこそ人間〜」と嬉しくなってしまった。(邪悪なオタクなので人間の業を観測すると喜びます)

なお、同じ国でも当然一枚岩ではないことを注記しておく。バルト三国にもロシア系住民は多数いるし、ロシアの歴史学者の全員がロシア連邦政府の歴史認識を支持しているわけではない。

で、まあエピローグの最初の方まではまともな歴史の本だな〜と思っていたのですが、エピローグの途中から唐突に政治的主張を(ちょっとではあるが)混ぜ始めて怖くなって泣いてしまった。しかも本文とは違って論拠とか適当だし……

最後は微妙にアな感じだったが、全体としては面白い本だと思う。

2018年12月に読んだ本まとめ

仏典はどう漢訳されたのか スートラが経典になるとき

中国における一大翻訳事業である仏典の漢訳について書かれた本。一応一般向け。書かれてる話題は

  • 仏典の翻訳は具体的にどんな感じで行われたのか
  • インド人僧はどれくらい中国語(口語または文語)を操れたのか
  • 全く違う言語であるインドの諸言語(サンスクリット語とか)から中国語に翻訳するにあたって、翻訳が困難な部分をどう訳したのか
  • 仏典の漢訳によって中国語がどう変化したのか

などなど。

とりあえず、中国の仏教の歴史を知る上でとても良さそうな本だった。

翻訳学が話題の中心というわけではないが、翻訳学的な視点に興味がある人も読むといいと思う。
仏教特有のものを既存のもの(儒教とか道教とかの用語)を流用して(対応させて)訳すと仏教用語儒教的なニュアンスが重ね合わさって理解されることがあるとか、ヨーロッパでは意訳と逐語訳の対立が議論の中心だったが漢訳においては翻訳不可能性と音訳の問題だったとか。
この文章を読んで興味が持てたらお近くの図書館か本屋へレッツゴー。

いやしかし単語ごとに訳して語順を入れ替えるとか、流れ作業みたいに翻訳するとか、正直今の(私の)常識にはめちゃくちゃ反しまくってる。そんな翻訳方法で大丈夫か? (実際大丈夫だったらしいけど)

あとは野となれ大和撫子

あとは野となれ大和撫子

あとは野となれ大和撫子

yuyusuki.hatenablog.com

十角館の殺人

とにかく非常に上手い作品。30年前の作品だが、今読んでも十分に楽しめると思う。

新装改訂版の方がオススメ。ページ繰りが調節されていて、「衝撃の一行」をより鮮烈なものにしている(らしい)。
ちなみに私は初見でその一行をスルーしました。頭悪いな?

ソードアート・オンライン(1〜4巻)

元祖VRMMORPGものだけあって、やはり面白かった。

「同じ家からアクセスしているからグローバルIPアドレスは同一」みたいなことをキリトが言っていたり、誰でもVRMMOが作れるUnityみたいな開発環境が出てきたりと、コンピュータオタクホイホイが随所に仕掛けられていると感じた。あと、異なるゲーム世界の間を行き来できるようなシステムができつつあるらしく、どういうプロトコルになってるのかいろいろ想像してみるのも楽しい。

戦闘シーンは本で読んでもいまいち想像ができないので、アニメで見た方が分かりやすいかもしれない。ただ、そうするとコンピュータオタクホイホイの部分は省略されているだろうから、一長一短といえる。(当然のことながら、数万字ある地の文を全部アニメにするのは不可能だ)

もともと、「シノンが絶対好きなタイプのキャラだから2期をアニメで見たい。でも話を分かってないと困るし1期は重苦しくてアニメで見るのには耐えられないから原作で読もう!」という理由で読んでいたので、これで心置きなく2期を見れる。

うーん……1期もアニメで見ようかなあ……

読んでいない本について堂々と語る方法

なんというか、筆者の遊び心がめちゃくちゃ感じられる本。

内容としては、「読書は読んだ状態と読んでない状態に明快に分けられるようなものではない」「読んだ本というのは自分の中の観念であって実体ではない」「本において重要なのは他の本との関係性で、それを知るには読む必要は別にない」「作品の批評とか言ってるけど実は自分の思っていることについて書いてる」とかそういう感じのことが書いてある。

というか、そもそも「読んでいない本について堂々と語る方法」を本という形態で出版している時点で自己言及もいいところだ。
他にも、訳者の解釈によれば、作者は「この本を読んで真に受けた読者が過剰に教義を実践しようとする」様子を演じているらしいけど、それが正しければなんとも悪趣味な話。

とりあえず、本の結論(の1つ)は多分「詳細に入り込みすぎると自分を見失うからほどほどに」だと思うし、適度な距離感を持って適当に読めばいいのでは? 知らんけど。

共産主婦

食事、日用品、住宅事情まで、旧東側諸国の暮らしが体感できる。

総括

えー9冊も読んでたんですか? やればできるじゃん

「あとは野となれ大和撫子」感想

初めに

この本最高ですか?

あらすじ

めんどいのでKADOKAWAの紹介文貼り付けます

中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮(ハレム)を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国を――自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが……!?

内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。
それでも、つらい今日を笑い飛ばして、明日へ進み続ける彼女たちが最後に摑み取るものとは――?

ところで、私はこれを実質ラノベだと思って読んだのだが、実は直木賞次点だったらしい。
……ラノベ的な作風の本が直木賞? あの賞ってそういう雰囲気の賞だったっけ?

歴史設定について

何よりもまず、アラル海の跡地に国家を作るという発想に仰天させられた。

現在の中央アジアの国境は、ロシア帝国時代の行政区分を廃して民族分布に概ね基づいた区分けに再編されたことで確定した*1。史実ではそうなっているが、その後に国境が変動したという設定にしても全く問題ない。
とはいえ、実在しない国がソ連崩壊後に独立した状態で残るという設定にリアリティを持たせるためには、ある程度納得できる成立過程が必要だ。そこで作者が考えたのが、アラル海の跡地を新天地として開拓したというものだった。

フィクションとしてのリアリティは十分にあるし、意外性も十分にある。さすがは本職の作家だと驚嘆した次第である。

オタクホイホイ

この本にはロシア語やウズベク語(あとちょこっとチェチェン語)が登場するし、中央アジアの料理も数多く出てくる。プロフ、ラグマン、ベシバルマック、クヴァス、チャイハナ(これは料理ではないが)、ブリヌィ、ハルヴァ。
言語、文化、地理、歴史などに興味がある人は読んで損はしないと思う。話自体も普通に面白いし。若干「うーん」となる箇所がないわけではないが

読んでると中央アジアに行きたくなるが、残念ながら大学生になるまでお預けである。嗚呼、悲しきかな。

まとめ

オタクはこの本を読め。

*1:詳しくは専門書を読もう