天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

「教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 3時間目」感想

最高だった。

  • 文章
  • 挿絵
  • ストーリー、その他
  • おわりに

文章

文章は相変らず軽めで、インターネットを含めた古今東西のネタを詰め込んでグツグツ煮込んだ闇鍋。文章のあまりの情報量の多さに私みたいな文字情報中毒(活字中毒とも言う)は興奮し脳内麻薬ドバドバ、一方で苦手な人はとことん受け付けられなさそうで、とにかく向き不向きが激しそう。

あ、はい、この文章私は結構好きです。2巻の感想記事に「好きでも嫌いでもない」なんて嘘を言ってごめんなさい。
yuyusuki.hatenablog.com
限界オタクのツンデレは流行らんぞ

どうでもいいけど、1巻にあったヴェルタースオリジナルネタを今巻のエピローグでもう一度出してきましたね。天丼かな?
その部分は結構重要な場面だったんですが、真面目ないい話になりすぎちゃうのをなんとなく嫌だと思った天邪鬼な作者が軽い調子を出すために冗談めかしたネタ満載の地の文を書いてるのではないか、と私は勝手に想像している。

挿絵

さて、3巻の感想を述べるにあたって、やはり挿絵に言及せざるを得ない。
私は基本的に挿絵をそこまで重視しないタイプなので、私がこんなことを書くなんてよっぽどですよ、本当に。

今巻は個人的基準では挿絵のバーゲンセールだった。日向さん(かわいい)、ガーリーな服を着て恥ずかしがりつつブラウスのボタンを外しかけてるせいで肌(婉曲表現)が若干見え隠れしてるかわいさマシマシ冬燕さん*1、既刊で挿絵に既出の凛・ひらり・涼介(リョウ)だけでなく挿絵初出のすみれ・楓も含めたアルファクラスの面々(右上が楓で左上がすみれ、で合ってるよね?)、探偵冬燕さん。(私の好みではないので言及しなかったけど、シャークや探偵星花の挿絵もあるからそっちのオタクも安心していいよ)
特に探偵冬燕さんは私みたいな性癖のオタクを選択的に死に追いやる致死性の猛毒。ハンチング帽を被りニヒルな笑みを浮かべる頭のいいクール美少女って属性盛りすぎだろ、萌え殺す気か?

ストーリー、その他

さて、3巻では作家としての話が影を潜め、塾講師のとしての話が主題になった。
理不尽な悪役だったロジカルマンに血の通った描写がなされ、なんとなく不憫キャラという印象を残して塾サイドは一件落着。とりあえずロジカルマンは強く生きてほしい(全然他人事だと思えないので)
そして読者が安心したとこで最後に作家サイドに爆弾を放り込む手法は本当に見事の一言。

そして冬燕と星花が本格的に邂逅してしまった。顔を合わせるたびに騒動が起きるのですが、喧嘩するほど仲がいいと言うしこれ実質百合では?
知らんけど。

で、本題はここから。
今回は塾サイドの話だ。つまりどういうことかというと、鶉野冬燕さんがちゃんと活躍してくれます。(万雷の拍手)

先述の探偵冬燕さんはその最たる例だろう。いくらポンコツとはいえ基本的には頭がいいクール美少女なんですよ、彼女は。
整然と論理を紡いで真実を突き止めたわけで、頭がいい女の子が大活躍する話は最高だということを改めて再確認した。やっぱり天才クールスレンダー美少女になりたい。

どこぞの妄想垂れ流しなんちゃってポンコツ探偵とは違うのだよ。筒隠星花くん、君は探偵じゃなくて小説家の方が向いているね。

……なんてことを思いながら最後の部分を読んでいたのですが。(どうせ4巻のあらすじを見れば何が起こったかバレバレだけど、以下一応ラストのネタバレ注意)

*1:このブログの名前は「天才クールスレンダー美少女になりたい」ですが、別に貧にゅスレンダーじゃなくても他の要素が揃ってれば普通に好きです。鶉野冬燕さんしかり、双葉理央さんしかり

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2019年6月に読んだ本まとめ

暗号技術入門 第3版

この本を1冊読めば、暗号技術を理解する上で十分な基礎ができるはず。めちゃくちゃ良著。

特に、暗号技術そのものだけでなく、暗号の世界に通底する根本的な発想についてちゃんと理解することができる。
こういう、分かってる人は当たり前に分かってるけど、分からない人には全然分からない、みたいな部分をちゃんと言語化して説明できる結城浩先生は相変わらずすごい。「相変わらず」なんて言ってるけど、私は数学ガールの評判を聞いているだけで読んだことはない

僕と君の365日

――僕らの恋愛にはタイムリミットがある。

毎日を無難に過ごしていた僕、新藤蒼也は進学クラスから自ら希望して落ちてきた美少女・立波緋奈と隣の席になる。だが、その矢先「無彩病」――色彩が失われ、やがて死に至る病気になったことを知り、自暴自棄になってしまう。そんなとき緋奈が「死ぬまで彼女になってあげる」と約束してきて……。美しい情景で紡がれる、驚愕のラストに号泣必至のラブストーリー。

不治の病にかかった少年と少女の1年間を綴った小説。

淡々と描かれる感動寄りの物語が好きな人にはオススメできます。私もそのクチなので、号泣はしませんでしたが読み終わってからエモい気分になりました。三秋縋あたりが好きな人はこういうのも好きかもしれない。
まあ模試の休憩時間に読み終わったので余韻もクソもなく、すぐ英語のテストを受ける羽目になったのですが。ただのアホでしょ

一通り読んだ後にもう一度読み返してみると、「ああここは実はこういうことだったのか」という気付きが多数あると思います。こういうのを読み返してエモい気分になるのがオススメです。

365日を精一杯過ごした2人に栄光あれ。

共通語の世界史

人によっては筆者の主張が鼻につくと感じるかもしれない。筆者は自分の意見や価値観を述べることに躊躇いが一切なさそうだし、そういう意味では学術書というよりは啓蒙書と呼んだ方が適切だろうか。具体的には、ヨーロッパにおける多言語主義こそがヨーロッパを救うのだという素朴な信念とか。(気持ちは共感できるが、私はまだそこまで強く確信できていない)

あと、特に英語・フランス語・ドイツ語について言及している1部において、フランス語に対する扱いに贔屓が結構入っているような気がする。(この本の筆者はフランス人である。おいフランス人そういうとこだぞ)

そういう部分を気にしないでいられるのなら、この本は十分勧めるに値する。この本を読めばヨーロッパの言語に関する広範な(言語それ自体だけでなく、地理や歴史を含めた)知識を得ることができるだろう。まあ多少の事実誤認はあるが、これだけの範囲の本を分担せずに1人で書いているのだから、多少はご愛嬌……ということだろう。

特に、ヨーロッパという分類では忘れられがちな、ヨーロッパ・ロシアで話されている諸言語——ロシア語をはじめ、バシキール語、チュヴァシ語、タタール語、ウドムルト語、カルムイク語など——が触れられているのは好感が持てる。

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 2時間目

本筋の「小説家とは」「塾講師とは」「仕事とは」みたいな流れは順調に進んでて、そろそろ何か大きな転機があって第一部完! みたいな展開があってもおかしくないな、と思った。

あと地の文が相変わらず独特。特にネットのネタが大量に仕込まれてるあたりは受け付けられない人もいそう。逆にこういうのがめちゃくちゃ好きだという人もいそう。
あ、私ですか? 私は別に好きでも嫌いでもないです。Twitterでやるならこういう文章は大好きなんですが、如何せん商業の小説でそれをやられると、文章の耐えられない軽さ(Nesnesitelná lehkost vět)を感じないこともない。いや耐えれる範囲内だけど。

鶉野冬燕さん、クール美少女かと思ったらポンコツでしたね。
まあそういうのも悪くないです。悪くないんですけど、徹頭徹尾クール美少女なやつもそろそろ読みたい。鶉野冬燕さん可愛い。

「存在の耐えられない軽さ」実はまだ読んだことないんですよね。雑魚か? あとチェコ語合ってるかめちゃくちゃ不安。

2019年5月に読んだ本まとめ

クーデレな彼女とキスがしたい

クーデレという言葉がタイトルに入っているので昔から気になっていたのですが、どうも私の好みではなかった……悲しい……

好きなキャラが灰原哀二木佳奈多や雲雀丘瑠璃や雪ノ下雪乃であることから分かる通りそもそもボーイッシュ口調は特に好きではないのですが、だからといってボーイッシュ口調が嫌いというわけじゃないし……
メインヒロインじゃない幼馴染2人のキャラを受け入れられなかったのが敗因かもしれない。とはいえ、なんとなく「うーん」と思ったのを後から理屈つけても無益なので。はい。

オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

この本を初めて知ったのは、いつだったかは忘れたが、家の近くのジュンク堂の新刊コーナーだった。そのとき、「ああ、そういえばオスマン帝国についてまともに勉強したことはなかったな」と思ったのだけは覚えている。一応世界史の授業である程度は習ったとはいえ、まともに知っているとは言いがたい状態だった。

この本は、オスマン帝国を知る一歩目に極めてふさわしい本である。特定の時代に記述が偏ることもなく、まんべんなく全時代を扱っている。

実際に読んでみて、今までオスマン帝国に抱いていた固定観念がひっくり返された。こういう知の喜び、そして楽しみがあるから歴史オタクはやめられない。特に、帝国の体制が時代によってどう変化していったか、という部分はとても面白かった。あと16世紀末以降を停滞期ではなく変革期と捉える見方も。

こういう歴史系の本を読むたびに書いている気がするが、Twitterなどで歴史オタクをやっていると、国や人物に対する一面的で単純化された見方を仲間内でネタにして盛り上がる、みたいなことをしがちである。ネタにすること自体が悪いとは思わないし、そもそも自分もよくやっているので人のことは言えないのだが、ちゃんと勉強して自分の常識をアップデートしていく、歴史を扱う者としての誠実さが今問われている。

自戒を込めて。

教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? (1巻)

メインヒロインの女子中学生や同僚の女子大生はあまり琴線に触れなかった。キャラの好みがやたら狭い人間なんです、ごめんなさい。

ただし話の展開はいい感じ。好みのキャラクターによるブーストがなくてもすらすら読めた。

キャラの好みがめちゃくちゃ似ている同志(id:wowo_fishlife)が2巻から登場する鶉野冬燕さんを推していたので、図書館で予約している2巻が届くのが楽しみです。

バッタを倒しにアフリカへ

あなたはモーリタニアという国を知っているだろうか。
私はあまり知らない。実際、この本を読むまで私がモーリタニアについて知っていたことといえば、「長大な編成で有名な鉄道がある」「首都はヌアクショット、他にもヌアディブという街がある」「西サハラの領有権を昔主張していたが現在は放棄している」くらいのものだ。

この本は、モーリタニアにバッタを研究しに行った昆虫学者のエッセイである。

私はフィールドワークの話を読むのが好きだ。自分の知らない世界のリアルを覗いた気になれて知的興奮が得られるから。筆者の興奮が伝わってくるような文章ならなおさらだ。慣れない異邦の地で困難に突き当たり、なんとか乗り越える、その繰り返しだけでもこんなに面白い。

将来は不確定なものだが、私もそのうち自然科学の研究者になるかもしれない(文系の学問の道に進む可能性もゼロではないが)。あぶれたポスドクになって、なんとか任期付きのポストに収まって餓死を先延ばしにしたり、うまく進まない研究によって強いストレスを感じたり、任期なしポストに全然就けず未婚貯金なし低収入のまま40代になって首を吊りたくなったり、まあそういう色々のイベントを未来の私が経験する可能性は十分にある。

だからこそ、筆者のことが他人事だとは全く思えなかった。自分は小説を読むとき主人公に感情移入するタイプではないのだが、この本を読んでいる間はずっと感情移入しっぱなしだった。

もし10年後や15年後、研究者人生がつらいと感じたら、この本を読み返そうと思う。精神状態によっては逆に「こんなに上手くいかねーよバーカもう無理首吊る」となるかもしれないが……

ブレイブウィッチーズPrequel (1,2巻)

ブレイブウィッチーズストライクウィッチーズに比べるとストーリーがちゃんとしているように感じるので好きです。ちなみに6話はオラーシャ・スオムス回という定石があるのか、とにかく夜や宇宙や冬の透明な空気感がすごいのでめちゃくちゃ好きです。
あ、アニメの話ね?

そして、そんなアニメの前日譚を綴ったのがこの本。アニメ見てから読むといろいろ裏事情が分かっていいですね。

3巻は時間がなくて読めないまま期日になったので図書館に返してしまった。そのうち読む。

2019年4月に読んだ本まとめ

もうすぐ5月も終わりますね。なのに今さら4月の読書記録記事? 遅すぎるだろ(ごめんなさい)

八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

「八九六四」こと天安門事件について、政治とか歴史の視点ではなく、個人の体験という切り口から切り込んだ本。つまり、八九六四のとき何をしていたのか、事件をどう受け取ったのかということが主眼となっている。

現在の習近平体制下の中国ではこんな取材はできないし、もし今後いつか中国が緩んだとしてもその頃には天安門世代も高齢化が進んで風化しつつあるだろう。まさにギリギリのタイミングだったといえる。
それに、こういう本を書くのに十分な能力(語学力など)を持ち、かつ本を書く意欲がある人というのはそう多くない。
そう考えれば、この本が世に出たのは僥倖だ。

この本を読んで、多くの人が感じるのは割り切れなさだろう。現実だと「悪」はそう簡単には倒れないし、無実の人も理不尽に犠牲になる。残念ながらおとぎ話みたいにうまくはいかない。
わかりやすい幸せなおとぎ話を拒否するなら、こういう割り切れなさを受け入れる他に道はないのだろう。(突然のポエム)

1パーセントの教室(1,2巻)

yuyusuki.hatenablog.com

右ハンドル

yuyusuki.hatenablog.com

本と鍵の季節

いやー米澤穂信だ。

探偵役が2人で、しかも2人いる必然性がちゃんとあるのが上手なところ。

こういう「日常に潜む悪意」みたいなの結構好きです。

……感想書くの面倒になってきたのでとりあえずこれで。みなさん読みましょう。

漢字の成り立ち 「説文解字」から最先端の研究まで

昔の(今の日本で権威のある)字源研究を最新の成果も取り入れて批判的に検証した本。漢字に興味があるなら読んでて損はない気がする。

私が読んだ限りでは、先行研究を批判するときの作者の姿勢はまっとうだと思いました。私は漢字の専門家ではないので詳しいことは分かりませんが……

まあ、こういう批判もあるので、結局のところ何でも鵜呑みにするのはやめようねという話です。そもそもこの批判の正当性自体も私には判断できませんし。

togetter.com

ノッキンオン・ロックドドア

図書館でなんとなく棚を見ていたら目についたので借りた。存在は知っていたし。

これは「本と鍵の季節」と同様の話ですが、やはり探偵役が2人でどっちが欠けても謎が解けないというのは上手いですね。
普通に面白かった。書評ってしんどいので以上です。

これ続刊出るよね? 意味ありげな終わり方してるもんね? 登場人物の現状を紹介するのがメインで、何やら因縁のありそうな人間関係はあっさりと仄めかす程度にしか描写されてないからね。
まあ続刊が出るかはまた別の問題なんですけど……

ちゃんと人間関係掘り下げてほしいです。できれば長編で。

ネタバレ感想も書こうかと思ったけど、めんどいしこのサイトがよくできてるからぶん投げる。疲れた。

ノッキンオン・ロックドドア/ネタバレ感想

ロシア語の格変化を効率的にマスターする方法 part2

↓part1

yuyusuki.hatenablog.com

今回は、硬母音と軟母音の対応を利用して、効率よく基本8種類の格変化を覚えてしまいます。とりあえず単数だけです。

前回の復習

基本8種類の格変化(再掲)
男性名詞中性名詞女性名詞
単数主格- (子音で終わる)
生格
与格
対格(主格または生格)
造格-ом-ем-ом-ем-ой-ей-ью
前置格
複数主格
生格-ов-ев-ей--ей--ей
与格-ам-ям-ам-ям-ам-ям
対格(主格または生格)
造格-ами-ями-ами-ями-ами-ями
前置格-ах-ях-ах-ях-ах-ях

硬母音と軟母音の対応(再掲)
硬母音軟母音
ая
ое / ё
ую
ыи

男性名詞・中性名詞の格変化

硬変化軟変化
主格-(子音) / -о-й / -е / -ь
生格
与格
対格活動体:生格 / 不活動体:主格
造格-ом-ем
前置格

子音やоで終わる単語は「硬い」ですし、йやеやьで終わる単語は「軟らかい」ですね。ここらへんの感覚はロシア語をやっているなら是非とも身に付けてほしいところです。
そして、軟らかい単語の格変化は全部軟らかいし硬い単語は基本全部硬いです。前置格だけはどれも-еなので軟らかいですが。

さらに、аとя、уとю、омとем、というように、硬母音と軟母音が対応していますね?

男性名詞と中性名詞は(-мяを除いて)5パターンありますが、結局のところ格変化の種類は2種類しかありませんし、その2種類も対応してるので実質1種類です。楽ですね! (本当に?)

発展:対格について

先ほど「活動体:生格 / 不活動体:主格」と書きました。ただし、厳密には違います。

男性名詞についてはこれで完璧に合っているのですが、問題は活動体の中性名詞のときです。通常中性名詞は不活動体ですが、ごく稀に活動体のものがあります。(чудовище「怪物」など)

中性名詞の場合は、たとえ活動体であっても対格は主格と一致します。つまり「怪物を殺す」はубить чудовищеであってубить чудовищаではありません。(正書法の規則により生格はчудовищяではなくчудовищаになります)

女性名詞の格変化 その1

硬変化軟変化
主格
生格
与格
対格
造格-ой-ей
前置格
与格と前置格以外は硬軟の母音が対応していますね? つまり2種類ありますが実質1種類です。楽勝ですね。(本当に?) ちなみに、女性名詞では与格と前置格は一致します。女性名詞の格変化はもう1パターンありますが、そちらでも同じことが言えます。 これは覚えていて損はないです。

女性名詞の格変化 その2

主格
生格
与格
対格 =主格(-ь)
造格 -ью
前置格

ほとんど-иなので覚えやすいですね。ついでに女性名詞なので与格と前置格が一致しています。

中性名詞(-мя)の格変化

主格 -мя
生格 -мени
与格 -мени
対格 =主格(-мя)
造格 -менем
前置格 -мени

女性名詞(-ь)の変化にちょっと似てますね。

とはいえ、この種の単語で初級者が覚えないといけないのはимяとвремяくらいです。他にもまあзнамя(旗)とかпламя(炎)とかいろいろありますが、おいおい覚えればいいでしょう。ちなみにстремя「あぶみ」(馬具の一種らしい)みたいに絶対使わなさそうなのもあります。そもそも日本語でも「鐙」なんて知りませんでした。

今回のまとめ

格変化を覚える際に「硬い」と「軟らかい」を意識することで、覚える量がぐっと減ります。みなさんも楽しいロシア語ライフを!

次回はおそらく複数形を扱うことになると思います。複数形は不規則が頻出して地獄ですが、真面目にロシア語をやるなら避けられません。全てを諦めましょう。もうロシア語やだ……

「1パーセントの教室」(1,2巻)感想

恥を捨ててまでブログ名を「天才クールスレンダー美少女になりたい」とする程度に天才クール美少女が好きな私は、日々Web小説を漁り、ラノベを調べ、時にはマンガやゲーム(主にギャルゲー)にまで手を広げていろいろ調べている。
全ては性癖に合致するヒロインを探すため。(詳細は「オタク語り」カテゴリーの記事を参照してください。たとえば↓とか。)

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その甲斐があって、Web小説やラノベ(あるいはライト文芸)の分野で好みの小説を複数探すことができた。これもそのうちの1冊である。
クールだし、天才かどうかは知らないが理知的で凛としているし、挿絵から判断するにスレンダーだし、そして文句なしに美少女だ。しかも常に澄まし顔だけど打てば響くように答えが返ってくるし、冗談も言ったりする。完璧。「作者は私の別人格だ」と言われても正直違和感はない。(私の別人格が小説を書けるかはともかく)

つまり、何が言いたいかというと、とにかく日比野明日香さんが可愛い。特に2巻の巻頭挿絵にある狐耳の絵が最高に可愛い。これ見てるだけで満ち足りた気持ちで1日過ごせる。

あらすじを簡単に説明すると、呪われた人間を好きになる少女と呪われた少年が人の秘密を暴き、降りかかる災難を回避していく話。

1巻は人の心に踏み込んで事件を解決していくミステリ風味な話。ミステリと呼んでいいかは人によって意見が分かれそうだけど。
2巻では相変わらず謎を解いて災難を回避する展開もあるけど、「祭人」という祭の力を利用する超能力者が出てきて最終的に異能バトルになる。しかも最終的に明日香さんがめっちゃデレる。

可愛さ抑えめなクールで凛とした女の子がデレたときの破壊力はツァーリ・ボンバをも凌駕するというのは一般に知られた事実であり、この本を読めばそのことを強く実感できるはずだ。
2巻のクライマックスでのデレに心臓を破壊された後も、ラストシーンでさらにデレてくれる。そしていい感じの余韻を残して終幕。最後までデレたっぷり
最後のデレの破壊力自体はクライマックスより弱いが、不器用ながら感情を表現してくれたという事実自体が大変に尊いものである。

3巻はよ来い。言いたいことはそれだけだ。でも最近の出版事情ってめっちゃしょっぱいし、打ち切りになっちゃったのかなあ……嗚呼……


追伸: そろそろ性癖的な同志のために「天才クールスレンダー美少女を摂取したい人のためのラノベライト文芸セレクション」を書こうかと思っている。クールで素直じゃない女の子大好き界隈の発展、そして同志たちの幸せを願って。

「右ハンドル」感想

右ハンドル (群像社ライブラリー)

右ハンドル (群像社ライブラリー)

沿海地方ウラジオストク
ここはロシアだが、モスクワとは遠く離れている。ちょっと車を走らせれば中国との国境があるし、韓国や日本からとても近い。

その「辺境」の地にソ連崩壊後、中古の日本車が大量に流れこんだ。右側通行のロシアで「余生」を過ごす日本車は沿海地方の人々に愛され、アイデンティティーにまでになってゆく。しかし遠いモスクワから反右ハンドル圧力がかかり、中古日本車ビジネスは地元の人々の抵抗虚しく衰退していく……


本作はウラジオストク(沿海地方)における中古日本車(「日本娘」、японка)について語ったエッセイだ。「ドキュメンタリー小説」とあるが、事実上エッセイみたいなもんだろう。登場人物は架空かもしれないが……
全編を通して、ウラジオストクの日常とか空気感がとにかく伝わってくる本だ。

この本の4章までには筆者(そして沿海地方の住民)の車に対する愛が綴られている。自動車(というより機械の類全般)に無関心だった筆者が自動車にハマった経緯とか、ウラジオストクにおける中古車ビジネスに関する体験談とか、運転という行為に対する考察とか。

5章からは愛を語るだけでなく、モスクワと極東の攻防も描かれる。単に右ハンドルの問題だけではなく、ロシア連邦におけるモスクワと極東の意識の違い、日本車と極東(特にウラジオストク)のアイデンティティーの問題なども。
ウラルより西側、全面積の1/4ほどの土地にロシア連邦の人口(1.4億人)の8割が住んでいる。ウラジオストクはウラルから遥か7200km、人口はウラジオストクで60万人、沿海地方全てを合わせても200万人で、その上に不景気などの要因があって毎年減少している。そんな「切れっぱし」の極東の現状や中央政府の偽善的な態度を筆者は皮肉混じりに語る。(そもそも政治というものは概して偽善的な気がするけど……)



ロシアにおける右ハンドルの本場はウラジオストクをはじめとする沿海地方だが、日本車はシベリアでも広く親しまれている。この本によるとウラルより東では右ハンドル車が多いらしい。実際、イルクーツクに行ったときも頻繁に日本車を見かけた。(日本車に詳しいわけではないが、右ハンドル車は100%日本車なので猿でも分かる)

イルクーツクに2週間行ったとき、人の車に乗せてもらって遠出したことがある。そのとき、雄大な車窓を眺めながら、広大なロシアで車を運転したいという感情が湧き上がってきたのだ。
そこにきてこの本である。
車に一切興味がなかった私が、「ロシアの大地で車を運転してみたい」とまで思ってしまったのだから、広大な土地が人を惹きつけるのはどうやら本当のことらしい。というかロシアに「帰り」たい。



ところでこの間、この本のロシア語版を中古で(運命というべきか、この本も中古であった)買ってしまったのだが、これマジでどうしよう……読むだけのロシア語力は現状ないし……

↓買ってしまったときの話

yuyusuki.hatenablog.com

ロシア語が多少分かれば、この本ももっと楽しく読めると思う。例えば「右の」を意味するправыйには「正しい」という意味もあるんですよ。