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「スターリンの将軍 ジューコフ」感想

スターリンの将軍 ジューコフ

スターリンの将軍 ジューコフ

伝説的なソ連の将軍であるジューコフに、今までのイメージに固執することなく迫った本。ペレストロイカソ連崩壊の後に公開された様々な史料を駆使し、誇張された神話を剥ぎ取り、複雑で矛盾に満ちた彼の人生を描ききったジューコフ伝の決定版。

前半はジューコフが軍人として栄達を重ねる様子を書いている。ソ連の戦史とか軍事、特に大祖国戦争(東部戦線、独ソ戦)に興味がある人におすすめ。
後半(といっても最後の1/4くらい)は戦後ソ連の権力闘争について書かれている。巨大組織内の権力闘争が好きな人におすすめ。

この本の一番の特長は、著者の公平で客観的な姿勢が随所で感じられることではないか。

たとえば、ジューコフ本人をはじめとする様々な軍人の回想録は重要な史料だが、さりとて100%無批判に受け入れられるものではない。他人を攻撃するために作り話を載せたり、自分をよく見せるために責任逃れをしたりと、そういう歪曲が多々見られる。
だから、著者は誰のどの史料に対しても批判的に検証し、歪曲の意図や理由を含めてできる限りの推論をしている。史料に相対する歴史家の苦闘が感じられて、単なる歴史マニアの私としては頭が下がる思いである。

我々はともすれば、わかりやすいメッセージ性を最優先したり、単純な物語に歴史を嵌め込んだりしがちだ。詳しくない分野は特に。
人間だから間違えるのは当然だが、それでも歴史マニアを名乗る以上、自分の理解が雑である可能性くらいはせめて常に自覚しておきたい。

あと、些末な話だけど、リーディヤ・ルスラーノヴァ(Лидия Андреевна Русланова)がジューコフとの関係(愛人とかそういうのではなく、政治的な話)を疑われて投獄されてるのは意外だった。確かに彼女はソ連でもめちゃくちゃ有名な音楽家・歌手だったし、前線でも士気高揚のためいろいろ歌ってたらしいのでジューコフと知り合うこともあっただろうけど。

リーディヤ・ルスラーノヴァは日本だとめちゃくちゃマイナーでWikipediaの記事すらない有様だけど、ロシア民謡を歌ってヒットしたソ連有数の歌手で、日本でも知られている代表曲はカチューシャ。解放直後(まだドイツ軍が完全降伏していない時期)のライヒスターク(ベルリンの国会議事堂)やブランデンブルク門でコンサートしてたりもする。(ロシア語版Wikipedia情報)
つまり日本における美空ひばりみたいなもんだろうか。知らんけど。

ところで、そのうちアニメ化されるかもしれない「連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ」にリュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァってウィッチがいるじゃないですか。モデルはもうお分かりですね?

ところで、もっと詳しい書評を発見したので貼っておきます。

geocitiesはもうすぐ死ぬらしいので、Web Archiveの方も。