天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

「あとは野となれ大和撫子」感想

初めに

この本最高ですか?

あらすじ

めんどいのでKADOKAWAの紹介文貼り付けます

中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮(ハレム)を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国を――自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが……!?

内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。
それでも、つらい今日を笑い飛ばして、明日へ進み続ける彼女たちが最後に摑み取るものとは――?

ところで、私はこれを実質ラノベだと思って読んだのだが、実は直木賞次点だったらしい。
……ラノベ的な作風の本が直木賞? あの賞ってそういう雰囲気の賞だったっけ?

歴史設定について

何よりもまず、アラル海の跡地に国家を作るという発想に仰天させられた。

現在の中央アジアの国境は、ロシア帝国時代の行政区分を廃して民族分布に概ね基づいた区分けに再編されたことで確定した*1。史実ではそうなっているが、その後に国境が変動したという設定にしても全く問題ない。
とはいえ、実在しない国がソ連崩壊後に独立した状態で残るという設定にリアリティを持たせるためには、ある程度納得できる成立過程が必要だ。そこで作者が考えたのが、アラル海の跡地を新天地として開拓したというものだった。

フィクションとしてのリアリティは十分にあるし、意外性も十分にある。さすがは本職の作家だと驚嘆した次第である。

オタクホイホイ

この本にはロシア語やウズベク語(あとちょこっとチェチェン語)が登場するし、中央アジアの料理も数多く出てくる。プロフ、ラグマン、ベシバルマック、クヴァス、チャイハナ(これは料理ではないが)、ブリヌィ、ハルヴァ。
言語、文化、地理、歴史などに興味がある人は読んで損はしないと思う。話自体も普通に面白いし。若干「うーん」となる箇所がないわけではないが

読んでると中央アジアに行きたくなるが、残念ながら大学生になるまでお預けである。嗚呼、悲しきかな。

まとめ

オタクはこの本を読め。

*1:詳しくは専門書を読もう