天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

数学・理科甲子園(科学の甲子園 兵庫県予選) 大戦犯の懺悔

3行まとめ

本選の理科分野の実験(化学・生物系)でやらかし、決勝進出を逃しました。A級戦犯です。ところでA級戦犯を永久戦犯だと思ってた人いるでしょ絶対

懺悔の前に: 数学・理科甲子園の流れ

チームは6人以上8人以下、同じ学校の生徒だけで登録。

なお、細かい点は今年の話なので、来年とか去年とかどうなるか(どうなってたか)は知りません。

予選

個人戦団体戦があって、それぞれ3人ずつ出場。両方に出ることはできない。
個人戦は3人が同じ8問を解いて、16点ずつ3人分の点数を競う。つまり1問2点。今回は確か全部で25分だった気がする。
団体戦は3人が6点の問題8問を協力して解く。1問ずつ2分から4分の時間制限がある。
つまり、個人戦団体戦は48点ずつ。

本選

予選の上位16チームチームが出場。数学分野と理科分野があって、それぞれ3名。これまた1人も被ってはいけない。
数学分野が20分で32点、理科分野が40分で64点。

決勝

課題を出されて、解法とかを審査員の前で発表する。どうも予選や本選よりも点数のウエイトが重いらしい。

体験記

予選

団体戦に出場。頭があれば解ける問題を1つミスして6点失点。その他2問間違えて戦犯になる。(まあ3人いるから連帯責任と言えなくもないですが)

ただ、個人戦に出た人々がガチ勢だったため個人戦でぶっちぎり一位となり、全体では2位に2点差をつけ辛くも1位通過。どこが「辛くも」やねん

この時点では「私が戦犯!w」と冗談を言えたのだ。そう、この時点では……

あと、学校名のところに自分の名前を書いてチームメイトに笑われた。それまでちゃんと正しく学校名書いてたのに。

本選 数学分野

数学分野では強者3人が安定のパフォーマンスを見せてくれた。ちなみに、テトロミノ5種類(裏表に使える)を2つ以上使って線対称の図形をたくさん作る、というものだった。様子を見ているとそれなりにできたっぽいので、「理科で爆死しなかったら本選は突破できそうやな」とは正直思った。フラグ

本選 理科分野

悪夢。

他の2人は物理とか工作の人材だったので必然的に私が主体となって取り組むことになったのでした。

問題文を引用するぞい。

酵母インベルターゼという酵素を分泌する。この酵素のはたらきによりスクロース(分子量342)がグルコースとフルクトース(いずれも分子量180)に分解され、酵母中に取り込まれる。

C12H22O11(スクロース) + H2O → C6H12O6(グルコース) + C6H12O6(フルクトース)

また、グルコースやフルクトースを基質としたときのアルコール発酵の化学反応式は次のとおりであることが知られている。

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

これらを参考に与えられた器具と溶液を用いて予備実験等を行い、最適と考えられる条件下で5分間にできるだけ多くの気体を発生させなさい。気体は水上置換法によりメスシリンダーに回収しなさい。より多くの気体を回収できたチームに高得点を与える。

与えられたのは30%スクロース溶液、30%グルコース溶液、10%パン酵母懸濁液。あとは実験に必要なストップウォッチとか試験管とかゴム管とかメスシリンダーとかピペットとか水槽とか。温めるためのカイロも配られました。
制限時間は40分、気体発生のために使える(試験管の中に入れられる)液体は10mLまで。



この試験の最大の論点は結局のところ、スクロース溶液とグルコース溶液と酵母懸濁液の最適な比率を見つけることです。これができなればどれだけ頑張っても死亡確定。

ふぁぼん「触媒の量を全体の1/3と1/6の2つ用意して試してみよう」
一同「は? 全然気体が出てこないんだが……いくらスクロースグルコースとフルクトースに分解する時間が必要だといっても遅すぎへん?????」

最終的に、残り6分を切った時点で気体発生の勢いが一番マシだった混合物(確か酵母懸濁液2mLとスクロース6mLだったかな)に酵母を追加投入して10mLにしてから、5分間の一発計測ということになりました。ここで触媒を追加投入したのは不幸中の幸いだったかも。こんな格言を知ってる?焼け石に水

記録は5.5mL。ちなみに1位は19.5mLだったかな。

そして、点数は5mLを超えた分に比例するシステムでした。1位が64点になるように調整されるので、我が校の点数は……

64*(5.5-5)/(19.5-5)=2.2

†2点†

終わった後の解説によると、最適な比率は溶液:触媒(酵母懸濁液)がだいたい1:8とか1:9らしいです。

は? 酵母懸濁液の方が圧倒的多量なの? んなもん分かるかいな

余談ですが、スクロースグルコースのどちらが良いかというと、解説曰くスクロースだとか。酵母は生き物なので浸透圧が高いと弱るかららしい。
(分子量が違うので同じ質量パーセント濃度でもモル濃度はグルコースの方が2倍。よってスクロース溶液の方が浸透圧が低い)

決勝

私が全てを台無しにする失敗をしてしまったせいで、当然決勝は行けませんでした。

決勝ではなんか物理の測定問題が出て、決勝出場チームがどこも模範解答に辿り着けなかった中、チームメイトは普通に模範解答を導き出してました。私がポカしなければ優勝して全国に行けたのでは???

反省

スクロース溶液またはグルコース溶液と酵母懸濁液の最適比は1:9とか1:8くらいだったのに、3:1とか2:1とか見当はずれの範囲でしか予備実験しなかった。当然速度がめっちゃ落ちるので、予備実験の時間がゴリゴリ削られた(持ち時間をほぼ使い果たした)。ついでに気体の発生速度がめっちゃ落ちて結果も悲惨なことになった。
ちなみに、実験中は「速度が遅いのはカイロで温めるのが十分でないからでしょ」と思っていました。(実際は単に酵母が少なすぎただけ)

まあ、要は、触媒だから触媒量(つまり少量)でいいだろうという思い込みがあったって話です。いくら酵母懸濁液の濃度が10%で水溶液が30%だからといって、触媒の方が圧倒的に多いのが最適だとは夢にも思わなかった……

他にもいろいろ反省するところはあるんですが、ぶっちゃけこれが強烈すぎて他に振り返るべき点が霞んで見える。

  • 題意の把握に時間がかかった
  • 触媒が生物という意識がなかった。ひたすら加熱していた、ワンチャン最後の方は失活していたかも
  • 生物だから周りが濃すぎると浸透圧で弱るということまで考えがまわらなかった(それ以前の問題)

こういう実験はそんなにヤバイはずがない(例えば制限時間40分なのに反応が始まるまで15分掛かるとか、そんなことはありえない)ので、15分経っても全然気体が出てこないのはつまり何かおかしいと気付けたはず。で、触媒の量が少なすぎる可能性に思い当たれば、そうすれば残りの20分くらいで十分やり直して計測できたと思う。

結局のところ、私の思考力が消滅していたせいということでファイナルアンサーです。こういうのは後出しジャンケンだし、たられば言っても仕方ないんだけどね……

後輩へのアドバイス

化学の実験マジで怖い。物理実験は(誤差が少なくなるような測定法をすれば)まあ大失敗はしないでしょうけど、化学は反応がちゃんと起きないとかいう最悪の事態もありえるので……

条件を変えて何回か実験できるなら極端な条件も試してみるべき。思い込みは大変怖い。

何かおかしいな? と思ったら条件や操作を再検討するべき。大会の理念上、試行錯誤して正解にたどり着くような問題になってるだろうから(「どっかでミスると即終了サドンデス一発勝負」みたいな問題は出ないはず)、要領よくやれば失敗が判明した時点からでもリカバリは可能なはず。

あと、科学の甲子園は実験屋が多いほど強いです。普段から実験とか物理工作とかしてる人を集めてきましょう。全国大会を見据えると理論屋がいないのは困るので、数学や理論物理ガチ勢も入れておこう。
ぶっちゃけ県大会の筆記試験は(うちの生徒なら落ち着いて解けば)誰が受けても圧勝できるはず。私は爆死しました

なんだかんだ強い人材がたくさんいるのに、能力を発揮できずにバカみたいなやらかしで落ちるのマジでもったいないぞ……(戒め)

最近、言葉が好きだ

最近、言葉が好きだ。

近況報告

最近やっていること:

クッキークリッカーにもハマっているが(始めてからもう1年だ)、それは今回の自分語りとは無関係だから省いておく。

やりたいこと、興味があること:

など。

だいたいやってることもやりたいことも言語とか言葉に関係するものばっかりですね……

お気持ち表明

最近、自然言語というテーマに一生を賭けてもいいかなって思い始めている。仕事にするのか趣味でやるのか、具体的にどういう方向でやるかとかはまだ分からないけれど。

日本語の言語運用能力は人並みにあるし、英語やロシア語でも(まだまだ精進が必要だが)読んだり書いたりできるし、新しい言語を学ぶ意欲も(興味さえ湧けば)あるし、文章も多少書けるし、論理立った思考も人並みにできるし、プログラミングも多少できるので、そこらへん活かしてこの先生きのこりたいところ。

言葉と論理の力を磨いてこのゴミな世界で生き抜こう!

ロシア語の格変化を効率的にマスターする方法 part1

はじめに

一般にロシア語はとても難しいと思われています。よく挙げられる第一の障壁はキリル文字で、第二の障壁は名詞の複雑な格変化です。

キリル文字は精神的な障壁が高いだけで、大して難しくはありません。読む練習を続けていればいつの間にかすらすら読めるようになります。それに比べて、格変化の方は確かにちょっと厄介です。名詞は性や数(単数か複数か)によって違う格変化になりますし、初見で格変化表を見ればげんなりしてしまうこと間違いなしです。名詞8種類に単複があって、それぞれ6つ格があるので全部で96種類ですからね。どう考えてもヤバイ。

基本の名詞8種類の格変化。一度に見るとめっちゃヤバイ。
 男性名詞女性名詞中性名詞
単数主格журна́лмузе́йписа́телько́мнатанеде́лятетра́дьме́стомо́ре
生格журна́ламузе́яписа́теляко́мнатынеде́литетра́диме́стамо́ря
与格журна́лумузе́юписа́телюко́мнатенеде́лететра́диме́стумо́рю
対格(主格または生格)ко́мнатунеде́лютетра́дьме́стомо́ре
造格журна́ломмузе́емписа́телемко́мнатойнеде́лейтетра́дьюме́стоммо́рем
前置格журна́лемузе́еписа́телеко́мнатенеде́лететра́диме́стемо́ре
複数主格журна́лымузе́иписа́телико́мнатынеде́литетра́диместа́моря́
生格журна́ловмузе́евписа́телейко́мнатнеде́льтетра́дейме́стморе́й
与格журна́ламмузе́ямписа́телямко́мнатамнеде́лямтетра́дямместа́мморя́м
対格(主格または生格)
造格журна́ламимузе́ямиписа́телямико́мнатаминеде́лямитетра́дямиместа́миморя́ми
前置格журна́лахмузе́яхписа́теляхко́мнатахнеде́ляхтетра́дяхместа́хморя́х

でも、実はこんなにたくさん覚える必要はありません。100種類もの格変化を叩き込む必要なんてないんです。同じところもありますし、後で述べる硬母音と軟母音の対応を知っていれば丸暗記する量が減ります。
できるだけ丸暗記する量を減らして、楽しいロシア語入門ライフを送りましょう。

硬母音と軟母音の対応

硬母音軟母音
ая
ое / ё
ую
ыи

「еはэに対応するのでは??」と思った人もいるんじゃないかと思います。発音においてはそうなのですが、格変化を楽に覚える上ではこの表が大事です。

ロシア語の正書法

г к х ж ч ш щの直後ではыがиに、яがаに、юがуになります。

例: гы→ги шы→ши

名詞と性の関係

名詞がаやяで終わると女性名詞、оやе(ё)で終わると中性名詞、子音やйで終わると男性名詞です。たいていの場合は
ただし、мяで終わると女性名詞ではなく中性名詞です。こういう名詞はとても少なくて、とりあえず使用頻度が高いのはимя(名前)とвремя(時間)の2つです。

ьで終わる名詞は女性男性の両方が存在します。なので、辞書を引いてどちらかを覚える必要があります。

そうは言っても、一部の単語は辞書を引かずに判別できます。

  • жь, чь, шь, щьで終わる名詞は女性名詞(逆にж, ч, ш, щで終わっていれば男性名詞)
  • 「〜する人」を表す接尾辞の-тельで終わっている単語は男性名詞
  • 形容詞を名詞化する接尾辞の-остьで終わる名詞は女性名詞

ただしгость(客)は形容詞を名詞化したものではないので男性名詞です。紛らわしいですね。
実際はаやяで終わる男性名詞とかも存在するけど、それは後回しにしましょう。

活動体名詞と不活動体名詞

人や動物を表す名詞は活動体名詞、それ以外は不活動体名詞と呼ばれます。ただし、народ(人民)やгруппа(グループ)みたいな集合体を表す名詞は不活動体名詞です。

実際に格変化を眺めてみよう

 男性名詞中性名詞女性名詞
単数主格- (子音で終わる)
生格
与格
対格(主格または生格)
造格-ом-ем-ом-ем-ой-ей-ью
前置格
複数主格
生格-ов-ев-ей--ей--ей
与格-ам-ям-ам-ям-ам-ям
対格(主格または生格)
造格-ами-ями-ами-ями-ами-ями
前置格-ах-ях-ах-ях-ах-ях

さっきの硬母音と軟母音の対応を思い出してください。いい感じにаとяとかуとюとかが対応している感じがしませんか?

ロシア語の格変化への心構え

いくら覚える数が(見た目より)少なくすむとはいえ、ロシア語の格変化は一瞬で覚えられるものではありません。無の状態からとりあえず覚えている状態までもっていくのにそこそこ時間がかかります。
さらに、格変化が「体に染み込む」まではもっと大変です。ロシア語を書いたり喋ったり読んだりしているときに格変化を思い出すのに詰まっていたら、格変化をマスターしたとはとても言えませんからね。

マスターするまで時間がかかるので、一度に全部マスターしようとせず、ちょっとずつ覚えていくのが近道です。のんびりやってても継続していればそのうち身についてきます。

次回予告

硬母音と軟母音の対応を利用して、効率よく基本8種類の格変化を(だいたい)覚えてしまいましょう。複数生格絶対許さねえ

↓続き

yuyusuki.hatenablog.com

中央アジアとロシア革命についてレポートを書いた

夏休みの宿題で、ロシア革命前後の中央アジアの歴史についてレポートもどきを書いたので供養しておく。

へ?夏休みの宿題なのになぜ日付が10月12日になってるのかって?1ヶ月遅れで提出したからに決まってるでしょ

central-asia2018 - Google ドライブ

LuaLaTeXとjlreqで書いた。和文フォントは源ノ角ゴシックと源ノ明朝のJP、欧文フォントはライセンス的に安心なLibertinus。学校に提出したやつはTimes New Romanを使ってたんだけど、ライセンスがよく分からないので避けた。
LaTeXソースが気になる奇特な人もいないとは限らないので、同じフォルダにtar.gzで固めて置いてます。まあ誰も見ようとは思わないだろうけどね。

動機

ロシア語の資料を参考文献に載せてイキりたかったから。元々中央アジアに興味はあったので。

感想

そこそこマイナーな地域なのに日本語の歴史書が何冊かあるって素晴らしいね。先人に圧倒的感謝。ただ、ヒヴァ・ハン国とホラズム人民ソビエト共和国とかザカスピ臨時政府とか日本語文献が少なくて死亡した。そもそもザカスピ臨時政府とイギリスの干渉はペルシアにおけるイギリス軍の活動と切り離せないと思うけどそっちまで手が回らなかったし……

免責事項

レポートの書き方とか歴史学の基本を一切知らない素人高校生が書いた危険物です。いろんな本とかWikipediaに書いてる内容を継ぎ接ぎしたゴミみたいな内容です。レポートの大まかな内容はだいたい合ってるはずですが、細部に誤りがある可能性が極めて高いです。というか自分でも書いてて「ここの記述だいぶ怪しいのでは……」ってたまに思ってたし。

こんなクソレポートもどき読んでないで参考文献に書いた日本語の本をちゃんと読んでください。
ロシア語のサイトは適当にネットから拾ってきたので怪しいかも。一応参考文献が書いてあるサイトに絞って読んだけど。
"British Military Involvement in Transcaspia: 1918–1919"は、まあ多分まともな内容だと思う。ちなみに洋書あるあるで、ネットで検索するとなぜかPDFが落ちてたりする。

まとめ

外国語文献読みたくない。英語もロシア語も無理。

好みを暴露すると友達が増える(キャラ編)

yuyusuki.hatenablog.com

この記事にだいたい書いてる気がするけど、一応ね。

  • 美少女
  • 知性が感じられる、有能、天才
  • 冷静、クール、感情表現に乏しい(無口である必要はない)
  • 辛辣な物言い、素直になれない
  • 高身長(167cmとか?だいぶ高いな)
  • スレンダー(まああんまり巨乳好きじゃないし)
  • 黒髪、銀髪、青髪
  • ストイック
  • 努力の人

要は雪ノ下雪乃とか二木佳奈多とか灰原哀とか如月千早とかです。察しろ。

「知性が感じられる、有能、天才」の具体例

  • 学者(数学者、科学者、歴史学者、経済学者、文学者、言語学者、その他いろいろ)
  • プログラマ
  • 通訳者、翻訳者
  • 魔術師、魔法使い(まあ世界観によるけど)
  • 賢者

頭を使って勝負する人々ならたいていストライクゾーンです。ただし、「何も分かってない素人が考えた天才キャラ」っぽさがあるのは苦手です。(注文の多いオタク)

「友達以上探偵未満」感想

ネタバレはありません。

正統派ライトミステリ。軽い語り口調、殺人事件が起きているにもかかわらず軽快な雰囲気。ももの向こう見ずで素っ頓狂な発言と、それをだいたいスルーしつつたまに反応してあげるあおのやり取りが軽快で、スラスラ読める。

あまりにスラスラ読めるから、一瞬で読者への挑戦にたどり着いてしまう。「犯人当てろって言われても、何も考えずに読んでたから何も分からないよ〜」と正直思った。
ちなみに、「伊賀の里殺人事件」を読んでいるときは推理の材料を求めて読み返すほどの気力はなかったのでそのまま読んだ。「夢うつつ殺人事件」では核心部分(会話の真相)だけ分かったけど犯人当てのために詳細に読み返すのが面倒でそのまま読んだ。「夏の合宿殺人事件」も犯人当てが面倒だったのでそのまま読んだ。こいつ悪い読者やな

そして、軽快でありながらこれはガチの本格推理小説でもある。どの事件も綿密なフーダニットになっていて、ちゃんと証拠を拾えば確実に分かるようになっている。それにトリックも面白い。まあ私は推理するのが面倒で推理しなかったけどな!

あと随所に小ネタが散らばってます。Anotherなら死んでた。

「夏の合宿殺人事件」と上野あおの莫大な感情

夏の合宿殺人事件では、今で語られなかったあおの内心が語られる。そしてそれは、今まで読んできた2篇の印象を全部覆すほどの衝撃がある。
あ、私は信じてましたよ?こういう感情表現が乏しい子はさりげなく行動で愛を伝えてるもんなんですよ。こういうキャラを探し求め続けて5年(ちょっと盛ってる)の私が言うのだから間違いないです。あとその愛が相手に伝わってないのも良いですね。「あの子が知らなくても私はあなたが優しいって知ってるよ」って言いたくなるのが最高です。

  • 右往左往するももを見かねてなんだかんだで助けてしまう
  • 自分が突き放したくせに、しょぼくれてるももは見たくない。ももの笑顔が見たい。
  • ももが居眠りしながら自分にもたれてきても不快に感じない
  • ももがいれば安心できる
  • ワトソン役として適任の空ではなくももが欲しい
  • ももには名探偵の推理を最も間近で聞く快感、真相を真っ先に聞ける快楽から逃れられなくなってほしい
  • 「名探偵とはこういうもの……あおはももの脳髄に焼き付け永久に魅了するつもりで、力強く宣言した。」
  • 「私がももに新たな夢を見させてあげる」(新たな夢=ワトソン役)
  • (ももが)「可愛い」
  • ももの得意げな笑みは嫌いじゃないしむしろ好き、「何回見てもいいかも」とまで思っている
  • 「名探偵として共に活動する限り、ずっと一緒にいられる」(≒ももとずっと一緒にいたい)
  • 「これからは、ももに私がいないと探偵として成立しないと思わせなければ」
  • 2人での推理を「初めての共同作業」「推理入刀」呼ばわり
  • ももの両手を握って顔を近づけてももを見つめる

百合です。本当にありがとうございました。というか、あお可愛すぎか?これで「私はワトソン役が欲しい」とか言い訳してたんですよ。

まとめ

正統派本格日常系ミステリだから「麻耶雄嵩作品だからヤバそう……」とか心配せずに読め。

「昨日まで不思議の校舎」感想

この学校ヤバイですよ。なんで生徒がバンバン物理トリック考えて不可能事件起こすんですか。

総評

全体的に良い。シリーズでも一二を争うオススメ作品。

「放課後探偵団」でも感じたけど、この作者が考える不可能事件の難易度はかなり高いです。(少なくとも私にとっては)
物理トリック大好き人間は是非読みましょう。いやあんなん分かるわけないやろ。

巻を跨ぐ伏線の回収などきれいにまとまったので最終巻みたいな雰囲気は感じるけど、ちゃんと次巻もあるので安心しましょう。

解決されないホラー展開もあるし、3つの事件の動機が全て「割り切れない感情を抱えていたらトリックが天から降ってきたので魔が差した」なのは偶然以上の何かを感じるし、ホラーミステリとしても良作だと思います。ホラー要素があっても事件がミステリとしてちゃんと解決されるので文句なしのミステリです。

あと伊神さんが人外扱いされてたのには笑った。

口裂け女事件

「あー」って感じだった。何よりも動機が上手い。「よくできている」以外の感想がないです。

不可能事件のトリックを考えるだけならともかく、動機を作るのって難しいと思うんですよ。殺人事件なら「迷宮入りさせたい」みたいな動機で片付けられるかもしれないけど、こういう悪戯だと「ふざけたかった」「なんとなく」で片付けるのはちょっと強引な感じがしますよね。推理クイズ寄りの推理小説ならそれでもいいかもしれませんが。

花子さん事件

まあ、真相にそんな意外性はないいです。というより、この話は動機の意外性とそれに伴う葉山くんの告白がメインですね。あと犯人の独白があっさり味。

カシマレイコ事件

これも動機が上手い。

七不思議の謎

納得のタイトル&伏線回収だった。1巻「理由あって冬に出る」最後の伏線がここで回収されるのかあ……という気持ちです。英題の"RELEASE MY SCHOOL DAYS"ってそういうことか。意図を踏まえて意訳すると「私の学校生活を解き放て」とかそんな感じ?

過去の事件を推理する部分も、十分な蓋然性があると思う。そもそも情報が少ないから牽強付会的な推理に陥りそうなものだが、そこらへん作者が上手いですね。



こっからネタバレ注意。まあトリックのネタバレはしませんけど、事件の内容を書いたり私の考えた別解の可能性を示したりするので。

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