天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

「友達以上探偵未満」感想

ネタバレはありません。

正統派ライトミステリ。軽い語り口調、殺人事件が起きているにもかかわらず軽快な雰囲気。ももの向こう見ずで素っ頓狂な発言と、それをだいたいスルーしつつたまに反応してあげるあおのやり取りが軽快で、スラスラ読める。

あまりにスラスラ読めるから、一瞬で読者への挑戦にたどり着いてしまう。「犯人当てろって言われても、何も考えずに読んでたから何も分からないよ〜」と正直思った。
ちなみに、「伊賀の里殺人事件」を読んでいるときは推理の材料を求めて読み返すほどの気力はなかったのでそのまま読んだ。「夢うつつ殺人事件」では核心部分(会話の真相)だけ分かったけど犯人当てのために詳細に読み返すのが面倒でそのまま読んだ。「夏の合宿殺人事件」も犯人当てが面倒だったのでそのまま読んだ。こいつ悪い読者やな

そして、軽快でありながらこれはガチの本格推理小説でもある。どの事件も綿密なフーダニットになっていて、ちゃんと証拠を拾えば確実に分かるようになっている。それにトリックも面白い。まあ私は推理するのが面倒で推理しなかったけどな!

あと随所に小ネタが散らばってます。Anotherなら死んでた。

「夏の合宿殺人事件」と上野あおの莫大な感情

夏の合宿殺人事件では、今で語られなかったあおの内心が語られる。そしてそれは、今まで読んできた2篇の印象を全部覆すほどの衝撃がある。
あ、私は信じてましたよ?こういう感情表現が乏しい子はさりげなく行動で愛を伝えてるもんなんですよ。こういうキャラを探し求め続けて5年(ちょっと盛ってる)の私が言うのだから間違いないです。あとその愛が相手に伝わってないのも良いですね。「あの子が知らなくても私はあなたが優しいって知ってるよ」って言いたくなるのが最高です。

  • 右往左往するももを見かねてなんだかんだで助けてしまう
  • 自分が突き放したくせに、しょぼくれてるももは見たくない。ももの笑顔が見たい。
  • ももが居眠りしながら自分にもたれてきても不快に感じない
  • ももがいれば安心できる
  • ワトソン役として適任の空ではなくももが欲しい
  • ももには名探偵の推理を最も間近で聞く快感、真相を真っ先に聞ける快楽から逃れられなくなってほしい
  • 「名探偵とはこういうもの……あおはももの脳髄に焼き付け永久に魅了するつもりで、力強く宣言した。」
  • 「私がももに新たな夢を見させてあげる」(新たな夢=ワトソン役)
  • (ももが)「可愛い」
  • ももの得意げな笑みは嫌いじゃないしむしろ好き、「何回見てもいいかも」とまで思っている
  • 「名探偵として共に活動する限り、ずっと一緒にいられる」(≒ももとずっと一緒にいたい)
  • 「これからは、ももに私がいないと探偵として成立しないと思わせなければ」
  • 2人での推理を「初めての共同作業」「推理入刀」呼ばわり
  • ももの両手を握って顔を近づけてももを見つめる

百合です。本当にありがとうございました。というか、あお可愛すぎか?これで「私はワトソン役が欲しい」とか言い訳してたんですよ。

まとめ

正統派本格日常系ミステリだから「麻耶雄嵩作品だからヤバそう……」とか心配せずに読め。