天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

2019年2月に読んだ本まとめ

3月も今日で終わりなのに、今さらこんな記事を書いている。不思議なことだ。

ところで3月に読んだ本まとめはいつ出るの? という質問が出そうですが、永遠に出ません。

1冊も読んでないからです。

いや、誇張じゃなくて、1冊も読んでないんです。



さて、気を取り直してやっていきましょう。

継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない

私が愛読しているWeb小説の書籍化。Web版はこちら。

kakuyomu.jp

主人公が現代文全国模試2桁位でヒロインが数学2桁位という設定になっており、タイムリーすぎて頭が痛かった。読んだのが模試の直後で、数学とか現代文とか爆死したので。
なんでラノベ読みながら「東大受かる気がしねえ……こいつらはカップルで仲良く受かるんやろなあ……主人公は微妙だが少なくともヒロインは受かるなあ……」とか思わなあかんねん。いやほんまに。(実際、数学それだけできれば東大くらい余裕な気がする。ちゃんと勉強して普通に受かる公立高校の秀才タイプっぽい)

最高です。模試の直後でなければもっと最高だった。

あとヒロインがミステリのトリックとかを日夜考えまくるタイプのミステリマニアで共感せざるをえなかった。私もよく脳内で不可能事件を起こして実行法を考えたりしてます。

ちなみにこの作者のデビュー作は後述する通りミステリなので、やっぱりヒロインに感情移入して書いてるんじゃないかと思う。

世界史を変えた新素材

「たまには科学読み物でも読むか」と思い立ったとき、一応化学徒である私は「有機化学美術館」で有名な佐藤健太郎氏の本を読むことにした。すぐ大阪市立図書館で予約したのだが、結構な人数が予約していたせいで、数ヶ月くらい待った気がする。

人類の歴史を文字通り変えるだけの衝撃を与えた材料の数々について書いている本なので、主内容は歴史ということになる。もちろんそこはそこで面白いのだが、私が感激したのは別の点だ。

読んでいると分かるが、この作者、一般に分かりにくい科学的なあれこれを比喩で説明するのが上手い。しかも科学的な正確さは保ったまま。一般人よりは多少化学に詳しい私が言うので多分間違いない。

まとまりがなくなってしまったが、良著なので是非。ただ筆者は別に歴史の専門家というわけではないので、そこらへんは考慮して読みましょうね。致命的な誤りはない気がするけど。

西欧の東

生まれたブルガリアで少年時代を過ごし、アメリカに引っ越して英語で小説を書き有名になり、自分でブルガリア語に翻訳して出版したら母国でも売れ……と、まさにブルガリアナボコフ(私が今勝手に名付けた)というべき作者による短編集。

どうも終わりが釈然としない短編が多かった。普段から娯楽小説のような起承転結がはっきりしている小説ばっかり読んでいるから、こういう雰囲気の小説を楽しめなくなってしまった……のかもしれない。
でも「レーニン買います」 と表題作の「西欧の東」はめっちゃ好きです。やはり現代が舞台の小説は読みやすい。

あと、ラキア飲んでる登場人物を見ながら(読みながら?)「ラキアってバルカンの象徴だよなあ」などと考えたりした。

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

「技術は進んでるんだから、今までのパソコンみたいなインターフェースに固執する必要なんてないし、もっと根本的なとこを自由に考えていきませんか?」みたいな感じの問題意識(多分)で書かれた本。「絶対に世界を技術の力で拡張しような」という心意気が大変よく伝わってきた。絶対に世界を技術で拡張しような。

あと、ここまで感覚をしっかり言語化できるのすごいなあ、と思った。

デザインには疎いので感想は以上です。間違いなく面白いんだけど、私の中で消化しきれていない感覚はあります。
デザインとかそういう作業をやるときにまた読み返す本リストに放り込んだので、またそのうち読めばもうちょっとまともな感想が出てくるんじゃないかな。

ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件

「継母の連れ子が元カノだった」の作者のデビュー作品。ラブコメのイメージだった作者から頭使いまくったミステリが飛び出してきたときの私の気持ちが分かりますか?

ストーリーも気にならない程度にはちゃんとしてたし、そもそもこれだけ壮大なトリックさえ考えればあとは雰囲気で細かい粗くらい誤魔化せるってもんです。
謎解きシーンになった瞬間明らかに込められた熱量が爆発してて、「この人めっちゃミステリ好きやろ」感がとても強く感じられた。

「肝心のトリックの核心が後出しでは?」という声はもちろんあるだろうし、私もそこを否定する気はありませんが、面白ければフェアだろうがフェアでなかろうがどうでもいいと思うのは私だけですか? (本格ミステリファンに刺されそうな発言ですね まあ私も本格ミステリ大好きなんですけど)

あと、ルドヴィカとエルシリアの関係が最高でした。お互いがお互いに対して因縁と割り切れない思いを抱えているわけで、巨大感情って最高ですね。完全に百合です。主人公は当て馬だしどうでもいいです。一応主人公の成長も描写されてたけど、ぶっちゃけ戦闘シーンいる? 感が否めません……
まあこれは個人の好みでしょう。

探検言語学

どうも普遍文法などの文法理論に興味が持てなかったのだが、先月読んだ「亡びゆく言語を話す最後の人々」は面白かったので、私は普遍性を追い求めるよりも個別の言語を研究する方が興味を持てるのかな、と思って借りてみた。

yuyusuki.hatenablog.com

ツンドラ、ロシア、危機言語、と私が好きそうな要素がてんこもり。

フィールドワークの裏話も面白かったし、言語学的な話もてんこもりで大変興味深かった。扱われている言語(チュクチ語、コリャーク語)は抱合語で能格言語とあまり馴染みのない文法体系だったので、読んでて「こういう言語が存在するんだ!」といった驚きと知的快感を得られた。

あと、この本を読んで言語類型論に興味が湧いた。言語類型論も言語の普遍性に目を向ける学問ではあるが、普遍性だけでなく多様性も重視するので個人的には楽しそうだと思っている。リンゼイの「言語類型論入門」を借りてみたので、多分来月読んだ本まとめに感想を書くと思う。……と思ってたら読めなかったよ

占星術殺人事件

あのゴッド・オブ・ミステリーこと島田荘司(と名探偵御手洗潔)のデビュー作。

某作品(金なんちゃらではなくグリなんちゃら)を知っていたので、2つ目の「読者への挑戦」の時点で6人殺しのトリックは分かってしまった。(某作品はやったことも見たこともないけど、ネタだけちょろっと知ってた)

何度読んでも「よくできてるなあ」と感心してしまう。「奇想天外の構想とトリック」というのも誇張ではない。できれば完全に無垢な状態で読みたかったかな……

中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立

私は本来ロシアが専門(大袈裟)で、中国には多少興味があるだけで大して詳しくない。
だから、IT系の話が好きな私はとりあえず中国のIT史でも軽く学ぼうと思った。幸い、Twitterで有名な中国ITライターが書いたいい感じの本が既に出版されている。

私が中国に興味を持ち始めたのはつい最近で、その頃には既に習近平体制が磐石となり、インターネットを含む各所の統制が強化されていた。
だから中国のインターネットというのはずっと検閲が厳しかったと勝手に思い込んでいたのだが、実はそうではなかった、というのがこの本で得られた中で一番有意義な知見だった。中国共産党がインターネットを野放しにしたことはないが、統制の度合いは時期によって様々だったということだ。

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす

有機化合物はとにかく多彩で、現在発見されている化合物の8割くらいを占めるらしい。それにそもそも人間は有機物の塊ということもあって、人間と(因)縁が深い物質はたいてい有機物だ。たとえば、人間にとって主要なエネルギー源であるデンプン、大航海時代幕開けのきっかけになった香辛料、嗜好品に含まれるニコチンやアルコールやカフェイン、そして現代の重要なエネルギー源である石油など。
この本ではそういう化合物が歴史にどう影響したのか、今後どうなるかを論じている。

「炭素文明論」というタイトルはちょっとキャッチーすぎる気もするが、内容はタイトルと反して地に足が着いているので問題はない。良書。

余談だが、この本の窒素の部分は若干無理矢理感が否めない。それまで有機化合物で通してきたのに、ここだけ無機化合物の話になっているわけで。
もちろん、デンプンから石油に至るエネルギー問題を語る上でハーバー・ボッシュ法は避けられないので、書きたいのは理解できるのだが。

セルツェ――心 遥かなる択捉を抱いて

択捉島に進駐してきたソ連軍(とソ連人民)と島民の話。諸事情あって読んだ。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (1巻)

確かに雪ノ下さんはかわいいのですが、まだ1巻なのにデレすぎでは? まあ相手がガハマさんなので許すけどさ。

というか1巻は内容がこんなにライトなんですね。私が知っている俺ガイルはめちゃくちゃ重いんですけど。不穏になるのは魔王が出てくるあたりから? 知らんけど。

独特なタッチの挿絵だな〜と思ってたけど、今の俺ガイルと同じ人なんですね。6年とか7年くらいあれば絵柄くらい変わるか……

ぼくたちの青春は覇権を取れない。——昇陽高校アニメーション研究部・活動録——

部長の幼馴染と生徒会長がかわいい。とにかくかわいい。生徒会長は敵役だけどそれが逆に良い。ただ私怨で権力振りかざしたりしてるのはさすがにどうかと思うし、いくらアニメ嫌いには事情があったといえども、そこから突然いい話っぽいまとめ方をされても、ねえ……

カクヨムに続編があります。こっちは生徒会長→部長←幼馴染という構図が強くなってて美味しすぎてつらい。嫉妬する馬越先輩かわいい。
部長は無自覚だし、生徒会長も無自覚だし、馬越先輩は微妙に自覚してるかもしれないけど認めようとしないし、永遠にまどろっこしい図が見れ(読め?)ますね。

kakuyomu.jp

ぼっち・ざ・ろっく!

陰キャなら「ぼっち・ざ・ろっく!」を読め!

端的に言えば「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりの奇行を楽しむ漫画。こんなのを思いつく作者の正気を疑うレベル。リプライに使えるネタ画像の名産地。とにかくテンポが良すぎる。ちなみに、ぼっちちゃん以外にもう1人ボケ担当がいます。こっちも好きなキャラです。こいつならマジでサウジアラビアのヒットチャート聴いててもおかしくない。

まあ、ここまでなら普通のネタ全振りな頭がおかしいきらら作品だが、それだけではなく、ちゃんと主人公の成長物語としてもいい話なのでみなさん読みましょう。
この本は(大部分に)ギャグあり(たまに)涙ありの王道のきらら作品なのだ。

あと、随所にジャケット画像のパロディが仕込まれているらしいのですが、残念ながら私はロシアのロックしか聴かないので一切元ネタがわからなかった。悲しい。あと登場人物の元ネタがアジカンらしい。アジカンの曲はRe:Reとリライトしか知らない……

ビジュアル音声学

見た目は取っつきやすいが、内容はかなりハード。この1冊をだいたい理解すれば基礎知識として十分そう。数学の能力は大して要求されないので、数学が苦手でも食らいつく心意気さえあれば読めると思う。

私の場合、2章の調音音声学の部分は80%くらい理解できた。3章の音響音声学はモデル化するところまでついていけたけど、具体的な音の音響特性を議論する部分でしんどくなって、残りは半分くらいしか理解できなかった。4章は内容が軽めということもあってだいたい分かった気がする。

言語(特に音声と関連する分野)とか音声に興味があるなら読んで絶対に損をしない良著。みんな読むべき。

おわり

「ミステリ書きたいな〜」ってちょろっと思ってしまってからというもの、すごいミステリを読むと敗北感に打ちひしがれるようになりました。まだ何もやってないのに気分はミステリ作家なの、人間の醜さとか愚かさをはっきり表してて好きです(きらい)

小説とか書ける人間は正直人間じゃないと思ってる。小説でなければ、例えば評論ならそこそこ書けるんですけど。このブログとかね。この記事は短文の寄せ集めですけど、ちゃんと全体の構成がある長文記事は書いたことあるし。


人生ってままならないもんだなあ