天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

NDCの各分類から1冊ずつ選び、偏りがないブックリスト(100冊)を作ってみた【前編】

はじめに

今年もついに、大学生協事業連合謹製のブックリスト「大学生のための100人100冊」がバズって絶賛されたり猛批判されたりする季節がやってきた。

https://www.univ.coop/pamph/pdf/book-100.pdf


まあ、選書がいいとか悪いとか、衒学的だとか、衒学的で大二病だとして何が悪いのだとか、相対性理論の元の論文を読む意味全然ないだろとか、分野が偏りすぎだろとか、論理哲学論考の原著はさすがに読ませる気ないだろとか、まあいろんな意見が出て当然だとは思う。

(量子力学などと違って、特殊相対性理論は元の論文を読んでも害はない気がする。自然科学と原文/古典主義は相容れないという事実を選者がちゃんと理解しているかは怪しいが、それはそれとして「古典*1! 天才の論文! 原著! 簡潔な説明! カッコイイ!」みたいな素朴な感情は否定しても仕方がないし、自然科学の理論を学ぶというよりアインシュタイン推しのドルオタみたいな気分で読むならいいんじゃないかな。自然科学の王道からしたらミーハーだけど、物理学を真面目にやる必要がないならミーハー上等だし、真面目にやる必要があるなら別途教科書を読めばいいというだけの話だ)



選書についての文句はともかく、分野の偏りについては「ブックリストって、どうしても偏りが出るもんじゃない?」という気持ちがある。

逆に、どうやったら偏りなく100冊選べるだろうか。いい感じに諸分野から同数ずつ、そんなことが可能なのだろうか。第一、それだとあまりにアカデミックな内容に偏るんじゃ?


100冊……100冊……100分野から1冊ずつ……10^2分野……


日本十進分類法 第2次区分表


おっと。こんなところに、世の中の本を100種類に分類したイケてる感じの分類表が落ちていた。その名も「日本十進分類法」、通称NDC。
図書館に行くオタクには説明不要だと思うが、行かなくても別に「世の中の本を段階的に分類する方法」という認識で全く問題ない。
第2次区分までの分類だとちょうど100に分類されることになる。



「日本十進分類法」のWikipedia記事を読んでいたら「分類記号の上の分類構造と論理的な分類構造は一致しない」とか怖いことが書いてたけど、無視です無視。確かに、植物学と医学というスケールの全然違う分野が同列に並んでいるのは「各分野を公平に扱う」という趣旨的にやや問題含みだが、そこに突っ込むとこの記事が最初から終わるので。できれば自分の知らない分野が不均衡項目、自分の知ってる分野が縮約項目だと嬉しいのだが……まあ、そう上手くはいかないだろうなあ。





なんとなく地獄が見えている気もするが、レッツゴー。


ちなみに、分類の詳細は下記のサイトを参照した。10版(最新版)ってちゃんと書いてるから安心。

www.asahi-net.or.jp


具体的な本の分類は、基本的に国立国会図書館のものを参照した。図書館によってどう分類するか判断が分かれることがあるが、そういうときは国立国会図書館という権威に服従する運用。




0 (総記)

総記って何だよ。

調べたところ、情報科学とか図書館学とか百科事典とか郷土資料とか、なんかいろいろが分類されているらしかった。ゴミ箱分類群みたいな趣がある。

00 (総記)

総記って何だよアゲイン。

こういうのは下位分類を具体的に見るべきなのだろう。

002、「知識、学問、学術」。007、「情報学、情報科学」。


というわけで、コンピュータ関連の本をマジで適当に出すことにする。ちゃんと00なので文句は言わせない。



……具体的な本を1つ選ぶとなると、かなり難しい。さすがに『メタプログラミングRuby』を推すような真似はしないが(Rubyを書く人ならオススメ本ではある)、もう少し射程の広い低レイヤの本(『マスタリングTCP/IP』とか)でもまだ具体的すぎるような気がする。やっぱり理論寄りの本を選んだ方がいいよな……とはいえTaPLとか出されても困るだろうし、第一私も読んだことない……

いっそ『ハッカーと画家』みたいなエッセイにご登場いただこうか。こっちも読んだことないし、こういうのを特に面白いと思わない人はたくさんいそうだけど……



などといろいろ考え、「コンピュータサイエンス 入門」とかでググっていたところ、いい感じのやつを思い出した。


暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス (結城 浩)

NDC: 007.1

www.sbcr.jp

数学ガールの人が書いた、暗号技術の入門書。入門には一番いいと思う。
普通の人ですらTLSにPKIにと暗号技術の恩恵にめちゃくちゃ与りまくってる現代。そのくせ分かりづらい「暗号」の仕組みをざっと理解するのにぴったり。





はい、次行こう。


01 (図書館、図書館情報学)

もう全然知らん分野出てきた。オワリ。


「戦争と図書館」みたいな本を探してきてもいいのかもしれないが、歴史に偏ってしまうと「偏りがないように」という目的が形骸化してしまうので却下。『戦地の図書館 : 海を越えた一億四千万冊』とか気になってるんだけど。もう『図書館戦争』とか『図書館の魔女』とかでいい?

下位分類の中だと019「読書、読書法」が一番とっつきやすそうではある。


読んでいない本について堂々と語る方法 (ピエール・バイヤール)

NDC: 019

www.chikumashobo.co.jp


本とか気負わずに適当に読もうぜ、読まなくても書評が書けるくらいなんだから……みたいな内容だった気がする。覚えてない。何重にもトラップが仕掛けられてて、作者の「悪いオタク」っぷりをめちゃくちゃ感じた記憶がある。


はい、次。


02 (図書、書誌学)

いや知らんがな。

下位区分を見てみると、「著作、編集」「出版」などが並んでいる。

……ひょっとして、同人誌ってここに入る?



というわけで。

はじめての同人誌デザイン (木緒 なち)

NDC: 022.57

www.kadokawa.co.jp


「木緒なち」という名前にピンとこなくても、「蒼の彼方のフォーリズム」「ぼくたちのリメイク」などの作品は知っている人も多いはず。この人、なんか物書きだけじゃなくてグラフィックデザイナとかもやってて謎すぎる。怖い。


同人誌ってどんどん出した方がいいらしい。私は出した。次はみなさんの番だと思う。


↓私が出した人生初の同人誌。安いDL版もあるし、よろしければ買っていただけると作者が泣いて喜ぶ。
navostoke.fabon.info


03 (百科事典)

助けてくれ。

下位分類が「日本語」「中国語」「英語」って感じで逃げる余地がない。

総合百科事典ポプラディア 第三版

NDC: 031

kodomottolab.poplar.co.jp


ポプラディアにしたのに特に意味はない。次。


04 (一般論文集、一般講演集)

いやマジでどうしろって?

高校生のための東大授業ライブ : 学問への招待 (東京大学教養学部 編)

NDC: 041

www.utp.or.jp

東大生だしな。


05 (逐次刊行物)

いやマジで何なんだよこれ。助けてくれ。

ロシアの女性誌 時代を映す女たち (高柳 聡子)

NDC: 058

gunzosha.cart.fc2.com

なんでこれが058なんだよ。おかしくないか? まあ助かったけど……


次。


06 (団体)

いやマジで助けてくれ。069「博物館」はまだマシな気がする。

博物館学を学ぶ 入門からプロフェッショナルへ (水藤 真)

NDC: 069

www.yamakawa.co.jp

よくわからんけど学べるらしい。プロフェッショナルになれるらしい。


07 (ジャ-ナリズム、新聞)

だいぶ選択肢まともそうなのが来たな、ようやく。

ベリングキャット: デジタルハンター、国家の嘘を暴く (エリオット・ヒギンズ)

NDC: 070

www.chikumashobo.co.jp


オタク大好きbellingcatのドキュメンタリー。インターネットの情報を組み合わせて真実を突き止める、アームチェア・ディテクティブの現代における完成形。
こういうのと天才クールスレンダー美少女を組み合わせて新境地に至りたいねえ


08 (叢書、全集、選集)

助けてくれ。だいたい、全集なんて普通哲学とか文学とかそっちに入っちゃうだろ。わけわからん「叢書、全集、選集」になんか入れてないで扱ってる分野に分類するべきだろ普通。


というわけで、ここに入ってる本をざっと眺めた感じ、分類として意味をなしていない感じがあるのでパス。

09 (貴重書、郷土資料、その他の特別コレクション)

「一致するデータは見つかりませんでした。 」

パス。





ここまでさんざん意味分からん分類が続いていたのに、なんだかんだ選んだ本はそこそこバランス取れてて面白い。

1 (哲学)

哲学、心理学、倫理学、宗教。そのあたり私全然分かんないんだけど、大丈夫かな……(普通に全然大丈夫ではない)

10 (哲学)

哲学理論とか哲学史とか、らしい。でも哲学史とか書いてそうな本を探したら西洋哲学に分類されてたりして、かなり許せない。

世界がわかる比較思想史入門 (中村 隆史)

NDC: 102

www.chikumashobo.co.jp


マジで思想に無知だからこの本の善し悪しとか全然判断できないけど、古今東西の思想をざっと眺めるには良さそうに見える。ほんまかな。

まあ、そもそも読んでないのに何を判断するのだという感じだが。読んでない本をブックリストに入れるの、ブックリストの定義を破壊してるだろ。


11 (哲学各論)

この地獄ゾーンあと9個あるの? 助けてくれ。まあ地獄になってる原因は自分の無知と無謀さなんだけど。
誰かのせいにしたいが自分の顔しか思い浮かばない。

現代認識論入門 (上枝 美典)

NDC: 115

www.keisoshobo.co.jp

よくわからんけど「認識論」って言葉が好き。認識せずに哲学なんてできないのに、その哲学で認識について議論するというのはめちゃくちゃ面白いと思う。知らんけど。

雰囲気で選んでるから、この本がどのレベルなのかは全然知らない。『知識の哲学』って本も割と定評あるっぽい雰囲気なので、そっちの方がひょっとすると入門向けなのかもしれない。マジで全然知らんけど。


12 (東洋思想)

西洋の思想はまあ多少聞いたことくらいあるけど、東洋の方はマジで知らない。助けてほしい。

よくわかる中国思想 (湯浅 邦弘)

NDC: 122

www.minervashobo.co.jp

よくわかるらしい。そうなんだ。へー。


13 (西洋哲学)

こんな広い分野から1冊とか無理ゲーすぎるだろ。自分の興味に引きつけてロシア思想から選んでもいいのかもしれないが、そっちも全然分からんし……

14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト (飲茶)

NDC: 130

www.kawade.co.jp

表紙がポプテピという理由で選出。「ネオ高等遊民」氏のブックリストから拝借しただけ


14 (心理学)

いや、マジで分からんとこ来たな。心理学について知っていることはせいぜい「再現性の危機」の話くらいだし……

心理学・入門: 心理学はこんなに面白い 改訂版 (サトウ タツヤ、渡邊 芳之)

NDC: 140

www.yuhikaku.co.jp



まあ有斐閣だし大丈夫なんじゃない? 知らんけど。


15 (倫理学、道徳)

このあたり、かなり気になっている。気になっているだけで手は全然出していない。

動物からの倫理学入門 (伊勢田 哲治)

NDC: 150

www.unp.or.jp


入門したいねえ。一応図書館から借りてるんだが、いつも通り読めないまま返すことになるかもしれない。


16 (宗教)

マジで分からん。助けてくれ。

よくわかる宗教学 (櫻井 義秀、平藤 喜久子)

NDC: 161

www.minervashobo.co.jp

よくわかるらしい。


17 (神道)

どうしろと?

戦後史のなかの「国家神道」 (山口 輝臣 編)

NDC: 175.1

www.yamakawa.co.jp


この本によれば、「国家神道」という言葉はその時代が(一応)終わってから過去を振り返って名付けられたものだという。(参照: UTokyo BiblioPlaza - 戦後史のなかの「国家神道」)
こういう用語は歴史を参照すれば決して珍しくないが(たとえば、確か「ロシア・アヴァンギャルド」もそうだったと思う)、こういう用語は往々にして定義が曖昧だったりする。歴史は現在と過去の絶え間ない対話を経て形成・変化していくもので、この本では戦前と戦後の両方をにらみながら「国家神道」について迫っている……らしい。

へー。


18 (仏教)

そろそろ助けてほしい、マジで。

初期仏教: ブッダの思想をたどる (馬場 紀寿)

NDC: 181.02

www.iwanami.co.jp


なんかTLで見て面白そうだったので。宗教の本当の始まりの時期は後の時代と雰囲気とか形態が全然違ったりするよね、という話……だと思う。


19 (キリスト教)

どうでもいいけど、今ちょうど中世ルーシの福音書とかを古代教会スラヴ語とか古代東スラヴ語とかで読む授業を取ってるんだよな。別にキリスト教関連の授業じゃなくて、文献学とか言語学とかの方面だけど。

キリスト教入門 (山我 哲雄)

NDC: 190

www.iwanami.co.jp

中高生向けの新書だけど、私みたいな門外漢が手を出すには良さそうな気がする。変に肩肘張って選んでも仕方ないし。

西洋史やる人間がキリスト教を全然知らないってのもお粗末な話だが、知らんもんは知らん。





これでようやく2割。もう本当に助けてほしい。




2 (歴史)

比較的分かるとこが来たな。いやまあ全然分からんけど。

20 (歴史)

B.C.1177 : 古代グローバル文明の崩壊 (エリック・H. クライン)

NDC: 209.33

www.chikumashobo.co.jp


青銅器時代の地中海地域やメソポタミアでは、実は大規模な交易が行なわれていた。そのグローバル文明は紀元前12世紀に危機に瀕し、ヒッタイトやミケーネ文明は崩壊した。その原因は系統不明の民族「海の民」だったと言われるが、本当にそうだったのだろうか。

最新の研究を礎に古代文明の姿、そして崩壊プロセスを丹念に検証する本。


21 (日本史)

下位分類が時代じゃなくて地方ごとに分かれてるのが面白い。

太平洋戦争への道 1931-1941 (半藤 一利、加藤 陽子、保阪 正康)

NDC: 210.7

www.nhk-book.co.jp

執筆陣が豪華ですごい。この顔ぶれが日本の現代史について書いたという事実だけでご飯3合いける。


22 (アジア史、東洋史)

東洋史ってマジで何も分からなくて……

八九六四 完全版: 「天安門事件」から香港デモへ (安田 峰俊)

NDC: 222.077

www.kadokawa.co.jp


歴史書というよりはルポだが、現代の大陸中国のルビコン川「天安門」をテーマに様々な方面からインタビューした類稀なる本。筆者のバランスの取れた書きぶりが、複雑な事象のいろいろな側面を照らし出している。しかも、出版後に起きた香港動乱についても加筆されている。



なんか、私が現代史大好きだから一定程度は仕方ないけど、ここまで現代史に偏ってるのは良くない気がするな。


23 (ヨ-ロッパ史、西洋史)

来たな、本丸。
知らない人もいるかもしれないが、実は私、某大の西洋史学専修に在学している3年生だったりする。まだまだひよっことはいえ、専門ド真ん中である。
たぶん現状だと西洋史に対する理解よりコンピュータに対する理解の方が圧倒的に深いけど……


西洋史から1冊だけとか言われても無理があるのだが、この企画の初めからそもそも無理がなかったことがない。諦め。

民のモラル: ホーガースと18世紀イギリス (近藤 和彦)

NDC: 233.06

www.chikumashobo.co.jp

私が選ぶとどうしても現代政治史に偏りそうなので、あえて近世社会史を。

「女房売り」などの18世紀イギリスの風習と風刺画を通じて、当時のイギリス社会を克明に描き出した傑作らしい。まだ読んでないけど。西洋史の先生のおすすめなので内容は信頼できると思う


24 (アフリカ史)

ごめん、これは無理。アフリカについて何も知らない。「やる夫はアフリカで奇跡を起こすようです」は面白かったけど。

改訂新版 新書アフリカ史 (宮本 正興、松田 素二 編)

NDC: 240

bookclub.kodansha.co.jp

たぶん入門にはここらへんの本がいいと思う。知らんけど。

「アフリカ史」を1冊でやるのは対象がデカすぎて無謀だろうけど、とりあえずの取っかかりとして。


25 (北アメリカ史)

北米マジでなんもわからん。ヤバいかも。

戦争の文化 : パールハーバー・ヒロシマ・9.11・イラク (ジョン・W.ダワー)

NDC: 253.07

www.iwanami.co.jp
www.iwanami.co.jp

日米の歴史を追いながら、戦争を支える世論、メディア、文化を分析した本らしい。面白そう。


26 (南アメリカ史)

マジでわからんけど……
切り札の『世界各国史』シリーズの南米巻すら「ラテンアメリカ」すなわち255に分類されてるし……詰みです。

敗者の想像力: インディオのみた新世界征服 (N.ワシュテル)

NDC: 268

www.iwanami.co.jp

コンキスタドールたちの征服をインディオ側の視点で捉え、特に「集合記憶」を重視したアナール学派の本……らしい。紹介文によれば。


27 (オセアニア史、両極地方史)

もっと無理なの来たな。

オセアニア史 (新版世界各国史 27)

NDC: 270

www.yamakawa.co.jp

困ったときの山川世界各国史。ただ、目次を見る限りだが、トンガ大首長国のことに一切言及がないように見えるのは気のせいだろうか。さすがにそれはまずくないか……?


28 (伝記)

よくある「偉人伝」だけでなく、1人の人物に焦点を当てた歴史書もここに分類されるらしい。

戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男 (大木 毅)

NDC: 289.3

www.kadokawa.co.jp

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』の著者によるグデーリアン評。どうも当時の国防軍に「電撃戦」というドクトリンは存在しなかったらしいね。
未読なのでそれ以上言えることはない。


29 (地理、地誌、紀行)

え、地理とかってこんなとこに入ってんの。ビビった。

最長片道切符の旅 (宮脇 俊三)

NDC: 291.09

www.shinchosha.co.jp


もはや古典だけど。ノスタルジー。






よっしゃ、3割終わった。や、冷静に考えると3割ってけっこう先長いな……




3 (社会科学)

思想とか哲学に比べれば楽かな、この分野は。

30 (社会科学)

社会科学の哲学入門 (吉田 敬)

NDC: 300

www.keisoshobo.co.jp


社会科学なんもわからんし、こういう科学哲学的なアプローチから入るのも逆張り的で良いかもしれない。知らんけど。(他の候補には『賄賂のある暮らし: 市場経済化後のカザフスタン』もあった)


31 (政治)

政治っていろいろありすぎて困る、正直。

政治哲学もこの枠だし、アーレントとか入れるべきなのかもしれない。逆張りオタクだから入れないかもしれない。

民主主義対民主主義 : 多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究 (アレンド・レイプハルト)

NDC: 313.7

www.keisoshobo.co.jp


選挙等が形式上しか機能してない国を除いても、民主主義っていろいろあるからね。
こういう比較政治論は楽しそうだし、それも36国を扱ったというのだからその労力と意義は並大抵のものではないと思う。よーやるわ、ほんま。


32 (法律)

え、マジで助けてほしい。法学は本当に全然知らないんだけど。
実定法には本当に死ぬほど興味がないから、法哲学とかそっちの方面で探すことになりそう。法哲学もなんも分からんけど……


(追記) 公開当初『争われる正義: 旧ユーゴ地域の政党政治と移行期正義』を挙げていましたが、よく見たら32じゃなかったので差し替えます。

法哲学入門 (長尾 龍一)

NDC: 321.1

bookclub.kodansha.co.jp


法哲学の入門書は探した感じ複数あったのだが(当たり前だ)、この本の説明文にある「知の愛である哲学が非常識の世界に属するのに対し法学は常識の世界に属する。両者の出合うところ人間存在の根源的問題が立ち上がる」という言葉に感銘を受けたので、これにした。もう座右の銘にしちゃいたいくらい。


33 (経済)

経済、なんもわからん。こんなカスのブックリストに経済学の入門書を求めてやってくる人なんて絶対にいないし、経済史から適当に選ぶか。

ナチス 破壊の経済 (アダム・トゥーズ)

NDC: 332.34

www.msz.co.jp
www.msz.co.jp

なにかと議論になることが多いナチスの経済政策について論じた本の決定版。
『ヒトラーの国民国家』でも確か書かれてたと思うけど、収奪前提の経済とか正気じゃない。なおどっちの本も未読


34 (財政)

インターネットにおいて、日本の省庁の中で比類なきパブリックエネミーと名高い財務省くん。ミリオタにも職業研究者(文理問わず)にも、とにかく全方位から叩かれまくる存在。
文科省が「財務省に逆らえない小悪党」みたいなイメージであることを考えると、財務省のイメージの悪さが際立つ。


まあ、さすがにパブリックエネミー云々はともかく、延々と論争が続いているせいで、門外漢には財政に関する妥当な議論というのがどういうものか全く分からない。本当に分からない。どうも財政学の大前提そのものが非主流の経済学理論(MMTとか)から攻撃されているような状況に見えるのだが、私は門外漢すぎてMMT等の理論や財政学の根幹の双方の妥当性を評価し得ない。
一般のご家庭が通貨を発行できない以上、財政を家計とのアナロジーで語るのは適切でないように思える。とはいえ、政治家の発言や国民の認識はともかく、財政学という学問分野全体がそんな単純な落とし穴にはまっているとは思いにくい。それにMMTなどの理論が正しいという保証もない。かといって、仮にMMT等が間違っていたとしても、それは財政学の正当性が証明されたことを意味するわけではないし。「無制限に借金できる」はさすがに偽のように思えるが、では「今の日本はこれ以上借金を増やすとまずい状態なのか」という具体的な話になると、正直分からない。

第一、そもそもの話として「財政学の根幹が新しい経済理論からの挑戦を受けている」という私の認識自体が誤っているかもしれない。


結論: 助けて

財政学の扉をひらく (高端 正幸、佐藤 滋)

NDC: 341

www.yuhikaku.co.jp


Help me, YUHIKAKUUUU!! (ビートまりお)




分かんない分野は穏当に済ますに限る。次。


35 (統計)

統計とは書いているが、統計学は基本的に417だからダメ。こちらには統計データを載せた本とかが分類されているのだが、じゃあ何を選べばいいんだよという感じである。


というか日本語で比較的最近書かれたまともな本がここに全然分類されてなくないか? おいおいおい。選択肢狭すぎだろ。

統計データはおもしろい! : 相関図でわかる経済・文化・世相・社会情勢のウラ側 (本川 裕)

NDC: 350.4

gihyo.jp

だいぶ俗っぽい本になった。まあそういうこともある。


36 (社会)

これもどうすんだという感じではある。王道なら社会学から選ぶべきだろうけど、社会学なんもわからん。

マックス・ヴェーバーがロシア革命について考察した論文なども面白そうなのだが、いかんせんこいつの訳書も36xには分類されていない。

信頼: 社会的な複雑性の縮減メカニズム (ニクラス・ルーマン)

NDC: 361.3

www.keisoshobo.co.jp

なんか面白そう。

ここでわざわざヴェーバーとかマルクスとかの古典を避けるあたり逆張りという感じ。(別に古典が嫌いなわけではない。あえて私が推薦する意味はないと思っているけど)


37 (教育)

社会学以上に分からん分野来たよ。マジで助けてくれ。

「学力」の経済学 (中室 牧子)

NDC: 371.3

d21.co.jp


こういう装丁の本って胡散臭すぎて敬遠しがちだけど、まあ、たまにはね。

そもそも、自然科学的な方法論で社会とか人間とかを分析するのは落とし穴がデカくて怖いので、ずっと足を踏み入れてこなかったという経緯がある。医学や心理学における再現性の危機とかもそうだけど。


38 (風俗習慣、民俗学、民族学)

このあたりも正直全然分からん。もう文化人類学者の先生が書いた名作ファンタジー『獣の奏者』でよくない?

「その日暮らし」の人類学: もう一つの資本主義経済 (小川 さやか)

NDC: 389

www.kobunsha.com

この人の他の本もめちゃくちゃ面白そうだから読みたい。永遠に積んでいる。


39 (国防、軍事)

大木毅先生とイズムィコ先生の二択かな、これは。さっき大木毅先生の本を挙げたしイズムィコ先生だろうか。『独ソ戦』を入れられないのは心苦しいけど、そもそも1分野1冊というのが無理すぎる。


現代ロシアの軍事戦略 (小泉 悠)

NDC: 392.38

www.chikumashobo.co.jp


旧ソ連の軍事とか軍事思想とかが気になる人は絶対読んだ方がいい。






4 (自然科学)

いくら私が文転した落ちこぼれとはいえ、まあなんとかなるでしょ。

40 (自然科学)

科学哲学とか科学史とかから選ぶといいのかな、たぶん。

科学的思考のレッスン (戸田山 和久)

NDC: 401

www.nhk-book.co.jp


科学哲学なんもわからん。


41 (数学)

解析とか代数とかの定番入門書は私がここで書かなくたってみんな読むだろうし、逆張りしたいところ。ちなみに私は7年くらい前に買った笠原晧司『微分積分学』を永遠に積んでいる。若気の至りで表紙に「ふぁぼん」とサインペンで記名してしまったから売ることもできない。

……念のため附記しておくが、本名ではなく「ふぁぼん」という平仮名4文字がデカデカとサインペンで書いてあるのだ。どう考えても正気の沙汰ではない。


アルキメデス『方法』の謎を解く (斎藤 憲)

NDC: 410.231

www.iwanami.co.jp

プトレマイオスもそうだけど、古代ギリシアの偉大な科学者・数学者たちってマジでバケモンで……


42 (物理学)

これもね、定評のある教科書を並べても仕方ないんだよね。私にそういうの期待してる人とか絶対いないでしょ。

物理学をつくった重要な実験はいかに報告されたか (Morris Herbert Shamos)

NDC: 420.75

www.asakura.co.jp

逆張りのあまり科学史に逃げるやつ、再び。


43 (化学)

かつて私の専門だったはずの分野。今となっては有機化学の反応はほとんど忘れてしまったし(当時も有機化学は一番苦手だったけど)、化学徒だった頃の遺産が一切残ってない。


個人的には『熱力学要論: 分子論的アプローチ』をオススメしたかったのだが、こいつは物理学に分類されていた。悲しい。
化学をやる人間が熱力学に入門するならアリだと思うのだが。

なぜ原子はつながるのか (竹内 敬人)

NDC: 431.12

www.iwanami.co.jp

「高校からの化学入門」シリーズの1冊目。化学に興味を持った中高生が読むとブチ上がれると思う。品切れで中古しかないらしいが、図書館でいいから借りてくれ。


44 (天文学、宇宙科学)

このあたり、なんもわからん。

小惑星ハンター (渡辺 和郎)

NDC: 442

www.seibundo-shinkosha.net


選出理由: 『恋する小惑星』。


45 (地球科学、地学)

『恋する小惑星』の二次創作をやったおかげで、地学の知識が微妙についたりつかなかったりした。でも結局なんもわからん。

雲の中では何が起こっているのか (荒木 健太郎)

NDC: 451.61

www.beret.co.jp


ナナチカ探偵団と不可能な虹」を書いたときに気象まわりの図鑑とか入門書には散々お世話になった。


46 (生物科学、一般生物学)

高校生物すら落第だった私が生物学の本を選ぶという意味の分からない行為に価値があるとは到底思えない。もうキャンベルとTHE CELL投げつけていい?


細胞の理論生物学: ダイナミクスの視点から (金子 邦彦、澤井 哲、高木 拓明、古澤 力)

NDC: 463

www.utp.or.jp

金子先生の本でも挙げとくか。東大生だしな。それに伝統的な生物学よりは興味あるし。


47 (植物学)

植物の知識がゼロ。
……マジで分からんし適当に選ぶか。

面白くて眠れなくなる植物学 (稲垣 栄洋)

NDC: 471

www.php.co.jp


面白くて眠れなくなるらしい。


48 (動物学)

学術書じゃないけど面白い本を選ぶね。

バッタを倒しにアフリカへ (前野 ウルド 浩太郎)

NDC: 486.45

www.kobunsha.com

冒頭からいきなり意味分からんから是非読んでほしい。
私もこういう文章が書けるようになりたいもんだなあ。マジで。


それと、砂漠での料理シーンを読むと『料理の四面体』を思い出す体質になった。


49 (医学、薬学)

欠片も分からんとこ来たな。でも認知科学はこの枠らしい。だいぶ助かった。

〈わたし〉はどこにあるのか : ガザニガ脳科学講義 (マイケル・S.ガザニガ)

NDC: 491.371

www.kinokuniya.co.jp


最近、諸事情あって認知科学とか神経科学に興味がある。それと、「自由意志だと思ってたら脳の異常のせいでした」みたいな事例がどんどん発見されていく中で、自由意志の存在を前提とする法がどう変化するかという話題も。

……なんかめちゃくちゃSFオタクみたいなこと言ってるな。自分のことはSFオタクじゃないと思ってるけど、SFみたいな人間と社会を問い直す思考実験は大好きっぽい。





前半まとめ

やっと半分だよ、やっと。もう疲れたんだけど。あと半分あるって正気?

後半をざっと眺めてみたところ、7xx「芸術、美術」が正直かなりしんどそうだ。うぐぅ。




ふぁぼんの運命やいかに。

後編へ続く。


yuyusuki.hatenablog.com









そろそろはてなブログのプレビューとか下書き保存とかが激重で、ページを変えないことにはどうしようもなくなってきた。
私が尊敬するライターのpato先生という方は長大な記事を書くことで有名なのだが、この間ついに「文章18万文字、画像1000枚」「入稿してたら開かなくなって編集部にめちゃくちゃ怒られた」とツイートしていて、掲載サイトの編集部も「作業中にWordPressが5回、ブラウザが2回落ちた」とか言っていたものだから、もう来るとこまで来たなと思ったのだが……

桁が1つ違うとはいえ、まさか自分が似たような体験をするとは思っていなかった。

ローカルで動くはてな記法プレビューツール、ないのかな。かなり痛切に欲しい。npmとかPyPIとかに転がってそう。

*1:当たり前だが古典力学と量子力学の話ではない