天才クールスレンダー美少女になりたい

チラシの表(なぜなら私はチラシの表にも印刷の上からメモを書くため)

東大合格体験記 検閲なし版

「検閲なし版」と銘打っていますが、結局どこにも体験記を送らなかったので検閲あり版は存在しません。



一応書いておくか……という気持ちになったので(正確に言うと、こんな人間の自分語りが一部の人から割と需要があるっぽいことが判明したので)、書こうと思います。内容はないです。受験生が参考にできる箇所もおそらくないと思います。


1つ受験生に何かを伝えるとしたら、そうですね……もし自分に高校や予備校のやり方が合わなかったとしても、それは決して合格が不可能であることを意味しないということです。一般的でない方法を選択して志望校に合格した人はたくさんいます。あくまで自己責任にはなりますが、自分の性質を見極め、適した勉強法を模索して合格しちゃいましょう。私は茨の道を進むアウロトーな受験生のみなさんを応援しています。
まあ私は別にアウトローだったわけじゃなくて、ただ単に怠惰かつやりたいことしかできない人間だっただけなんだけどね!!!!

まず参考にならないとは思うのですが、世界の†多様性†を垣間見たい人などは「勉強の方針」と「開示」の章を読めばいいと思います。勉強法と受験結果が載っています。まあ参考にはならないと思いますけど。

高2まで

勉強に関してこの時期に特筆すべきことはありません。
学校の授業はたぶんかなり良質だったので、英語や数学の授業をちゃんと聞いて問題演習をこなしていればこの時点で武器にできる程度の力がついたのかもしれません。しかし、あいにく私は学校の課題を一切やらず授業中にたくさん睡眠するカス道に興じていました。戦車道が乙女の嗜みだとすればカス道はツイ廃の嗜み。

さらに、学校全体の雰囲気はともかく、私の周囲にはだいたい社会不適合オタクしかいませんでした。そして私の周囲のオタクはだいたい受験直前までずっと「(やりたくなくて)やらなくてもいいことなら、やらない。(やりたくなくて)やらなければいけないことなら手短に。受験勉強は後者だなあ、カス」と折木奉太郎みたいなことを言っていたわけです。ちなみに折木奉太郎はカスなんて言葉使わないです。

とまあ、こんなわけで、「高3からやれば余裕やろ」という考えのもと高2までは遊び回っていました。時間の大半は中1の頃に始めたTwitterに溶かしました。時間を無駄にすることに対する焦りがなかったとは言えませんが、学校全体も割と楽観的な雰囲気でしたし、まあ楽しかったですね。一応真面目なことも多少はやりました。中1から高1終わりあたりまで化学ガチ勢でしたし、プログラミングは中1夏あたりから細々と続けていましたし(ブランクはありつつ一応今も続けています)、化学と入れ替わるような形で高2の夏あたりからロシア語ガチ勢になって今に至ります。

まあ、その、化学に関してはたぶん縁がそこまでなかったんだと思います。嫌いになったわけではないし、教科書を久しぶりに読んでいるとやっぱり楽しいのですが……

基本的に私は理系のオタクでしたし、少なくとも文理選択をする高1の3学期の時点では理系以外の選択肢は存在しませんでした。人文学に対する熱がだんだん高まってきたのはその後です。文転を考えたこともありますが、結局自分の好みと適性は違うという理由で断念しました。国語は壊滅的でしたし、英語はさほど得意でもないし、世界史の論述なんて書ける気がしません。後述しますが、東大に入りさえすれば理系でも文学部などに行けるので、受験の段階ではまだ自分に向いてそうな理系でやっていくことにしました。


ちなみに、「受験勉強は高3からで間に合う」みたいな雰囲気があった一方で、塾に行っている人はかなり多かった記憶があります。私はかなり反抗的な人間なので「塾に行くくらいなら落ちた方がマシだ」くらいのことを考えていました。ただの反抗的なオタクなのですが、あえて好意的な解釈をすると「受験に必要なものを自律的に判断し人の助言を盲信することなく批判的な思考で受け入れ勉強した」と言えなくはない……かもしれません。

ちなみに懺悔しますが東進の東大特進の体験授業? には行ったりしていました。授業自体は別に嫌じゃなかったんですけど、正直なところ塾に行っている自分が嫌いでした。

あとは……そうですね、ひたすらロシア語をやっていました。あと合格発表の前後にTwitterで二外ロシア語を布教していたら東大生だと思われたり東大の新入生から多数のフォローが飛んできたりしました。

なんで、私が東大に!?

「学歴厨」的な価値観は死ぬほど嫌いですし、個人的にはどこの大学に行っても自分に合うのならどこでもいいと思っていました。それでも、高2の終わりから高3の初めの時期に総合的にいろいろ考えた結果、結局志望校を東大に定めました。結果として面白みのない無難な選択になってしまいましたが、選択の理由は決して「なんとなく無難なとこを」なんかじゃないということを主張していきたい。[誰に?]

メリット1 東京で一人暮らしがしたい

東京には技術書典、コミケ、おもしろ同人誌バザールなどのイベントが存在します。吉祥寺にはグルジア料理を楽しめるロシア料理レストラン「カフェロシア」があるし、西川口には国内最高の蘭州牛肉麺の店と名高い「ザムザムの泉」が、神保町にはロシア語書籍を扱う「ナウカ」という本屋があります。

いや、正直なところ人がゴミのようにいる東京に行きたくはなかったけど、東京の方が趣味をやっていく上で都合が良かったので。仕方がないですね。

メリット2 進振りがある

進振りというのは、学部学科を2年生の途中で決められる制度のこと。正式名称は「進学選択」。1年ちょっと幅広い学問に触れた上で学科を選択できる。素晴らしいね!

……と思うやん? でも進学できるかは成績次第だから、視点によっては受験勉強を1年ちょっと延長させられるクソ制度とも考えられるんやで。人気の学部に行くためには良い成績が必要で、つまり取りたい授業があっても成績が悪くなりそうだったら諦めないといけないし、逆に成績は取れるけど興味ない講義を散々取るはめになったりする……らしい。知らんけど。友達がそう言ってた。あと、そもそも幅広い学問に触れるには必修が多すぎるんや。

ただし、私の場合は、進振りのデメリットはほとんどないと判断しました。

  • 理学部化学科はお世辞にも人気学科ではなく、理1から進学する分には成績の心配はそこまで必要なさそう(これで急に人気上昇したら笑ってしまいますけど)
  • 他に進学する可能性がある文学部の言語学専修、西洋史学専修、スラヴ語スラヴ文学専修、そして教養学部教養学科地域文化研究分科ロシア東欧研究コースの場合も、たぶんそこまで心配する必要はなさそう

そして、私個人のかなり特殊な事情——つまり、行きたい学部が自然科学系か人文系かすら確定できないという意味不明な状態のことです——のおかげで、進振りのメリットがとても大きくなりました。これはもう東大に行くしかない。

メリット3 第一外国語(既修外国語)として英語の代わりにロシア語を選択できる

Twitterで東大生が「英語の授業つらい」と言っているのをよく見ました。本当に大変なのかは知らないけど、「面倒そうなやつは避けるに限る」というのが怠け者の行動原理です。知り合いの東大生が「よほどの事情がない限り、つまり二外をまだやっていないなどの場合以外は既修で英語を取るべきでない」みたいなことを言っていたし、まあ無難な選択だったと思います。
今までそれなりにロシア語をやってきたので、まあ中級の授業程度なら大丈夫かなって正直思ってたし、実際割と大丈夫でした。課題はそこそこ多いですが、Twitterの知り合いの東大生を見た限りだと英語選択者よりはずいぶん負担が軽いです。

あと既修ロシア語ってやってる人が少なそうだし、コンテンツ力高そうじゃないですか?

yuyusuki.hatenablog.com


あと、これは入ってから知ったのですが、駒場キャンパスはとても語学の授業が充実しています。東大に入ってよかったです。強がりとか悲鳴とかじゃなくて本当に毎日が楽しいんですよ。

メリット4 ステラのまほう

ステラのまほうのオタクとして東大を目指さない理由がありますか? いえ、ありません!

(ステラのまほうの作者、くろば・U先生は東大のノンリニアというゲーム制作サークルの出身です)

デメリット1 必修がつらい?

理科一類は必修の授業が多いらしいです。しかも数学とか物理とか、自分がお世辞にも得意でない分野にも容赦なく必修が存在します。無理。

……数学も物理もできないの、単に「理系やめろ」案件では?

デメリット2 東京は人が多すぎる

東京は人が多すぎます。大阪くらいの都市レベルならちょうどいいのですが、東京になんて住みたくありません。ほんまカス。

まとめ

もし私がこの時点まで継続して化学一本のガチ勢で、他の分野は趣味程度で満足して専門にするなんて考えもしていなかったら——もっとも、そんな仮定は無意味なのですが——おそらく私は京大理学部に行って文学部の講義を聴講しまくっていたでしょう。私の周囲の人もかなり京大に行きました。みんな概ね京大生活をエンジョイしているようです。というか、京大生はみんな近所に住んでいるので気軽に会えて本当に羨ましい。

それでも、今のところは自分の選択を後悔していません。今後も後悔しなければいいですね……

模試の点数

高3の間に駿台河合塾の東大模試を数回受けました。そして、勉強を一切していない期間ですら、点数の上下がそこそこありました。

国語は25点から40点。
数学は30点から55点。
化学は20点から35点くらい。秋の東大実戦では100分以上かけた上に平均割れの18点を叩き出しました。秋の東大オープンは普通に偏差値63くらいだったのですが……
物理は……1桁から20点くらいまで……
英語は60点代後半から70点代前半くらいまで。なのですが東進で受けた2019年の同日模試だけ102点でした。そんなことある???????

ちなみに、一応東進の東大本番レベル模試も受けていたのですが、あれは毎回E判定でした。1月の直前模試ですらE判定でした。数学25点を叩き出したのもあの模試でした。なので、私の場合は正直当てになりませんでした……


冠模試は結構A判定を取っていたりしたのですが、まあC判定も1回取ってます。理由は分からないのですが私は問題によってかなり成績が変わるようです。英語の102点は1回限りのまぐれだったらしいので除外するとしても、他の科目だってそこそこブレてます。というか英語は102点という外れ値を除けばむしろ安定している方です。特に化学なんか意味不明で、自分が得意なタイプの問題と極端に苦手なタイプの問題があるとしか思えません。これでも一応国際化学オリンピック代表候補最終選考落ち(要はサマーウォーズ小磯健二)だったんですけどね。安定して悪かった物理が成績表の清涼剤になるレベルです。この点数がブレる現象のせいでA判定を取っても安心できませんでした。

そもそも、A判定を取ったテストで全科目の点数を合計しても200点ちょいくらいなんですよ。明らかにまだまだ足りないんです。おそらく、秋以降に受験生が猛勉強をするので秋の時点ではみんな点数が高くないのだと思います。つまりボヤボヤしてると本当にラストスパートで抜かれて不合格になります。私はお世辞にも受験勉強が得意なタイプではないので余計に。

年間計画

高3の夏までに、とりあえず二次試験対策の方針を決めました。

何よりもまず、英語で安定して取れるようになりたいです。最低で75、できれば90くらい欲しいですね。
次に、数学には期待しすぎないようにします。ただし60くらいは欲しいです。
現代文は漢字しか答えられないと考えます。安全側に倒す、つまりフェイルセーフですね。ニコ動でメーデーを違法視聴した甲斐がありました。古文と漢文でそこそこの点数を稼ぎたいところです。35点くらい……?
化学は満点を狙います。ここで稼がずどこで稼げるだろうか、いや稼げない。
物理も高得点を狙います。可能なら50点。

上手くいけば270点くらい取れて、センターで700点みたいな爆死が起きても理科1類ならたぶん落ちないです。いくら私でもセンター700点を割ることはないでしょう、さすがに。



……その計画、本当に実行できますか? 計画経済やってた国だいたい上手くいかなかったよね

どうせすぐわかることなのでネタバレしてしまいますが、センター試験が想定より良くて合格最低点がかなり低かったので、こんなに取れなくても合格してしまいました。まあ別にいいんですよ。受かってしまえば点数なんてどうでもいいんです。

高3

東大に合格した先輩から数学の赤本27ヶ年をもらいました。他にも何冊かもらったのですが、まともに活用したのはこれだけでした。詳しくは後述します。

さて、同日模試で英語が上振れしまくった結果として、私は東進の東大特進の無料枠をn科目分ゲットしました。というわけで、基本的にはこの無料枠の中で塾の授業を受けたりしていました。

……と言いつつ駿台の講習などを受けたりもしているんですよね。数年間塾に通わせるよりは安上がりだと思いますが、それでも安くない費用がかかっているはずです。塾に行かせないと不安になるような成績の親不孝者でごめんなさい……本当に申し訳ない……


さらに、この1年間に私の精神を苛んだのは、ただひたすら自分の過去の行いの報いでした。インガオホー。
中高の6年間を通じて「勉強したから成績が上がった」という成功体験が一切なく、そのかわり毎回のテストで「0分から数十分勉強しただけなのにその割には良い点数が取れた」というタイプの成功体験(成功ではないですね)ばかり積んでいたのです。つまりは典型的なクズだったわけですね。

そんなクズだったからこそ、数学と物理の勉強法がわかりませんでしたし、勉強したところで成績が上がるなんて信じられませんでした。数学と物理の点数を上げないといけないことは重々承知なのに。物理は東進でなんとかなったのですが、数学は全く勉強しないままどんどん時間が過ぎ、受験が迫れば迫るほど「効果があるかわからない勉強法で数学の能力が上がることに全額ベットしなければならない」という現実が心を蝕みました。

今振り返っても、あの頃の勉強に効果があったかなんて正直わからないです。「ただ単に数学で自分が解けるタイプのものばっかり出たから強烈に上振れしてめちゃくちゃ高得点が出てしまった」と解釈することも可能ですし、あるいは本当に私の数学力が成長していたのかもしれません。

さらに、秋の模試をほぼ勉強せずに迎えたのは本当に良くなかったです。普通ならある程度勉強した上で迎えて「ここまで伸びた、あとこれだけ頑張ろう」という指標にするべきなのでしょうけど、私の場合はそういうことができませんでした。普通の人は全体の1/3と2/3の地点でタイムを確認して目標とのズレを確認しながら残り1/3を走りきるのに、私はスタート地点で寝ていたら「お前はスタート地点から動いていません」という当たり前の結果が返ってきて、そこから最後まで中間地点のフィードバックなしに全行程を走りきる羽目になったわけですね。自分が間に合ったか分かるのは完走してから。心臓に悪いことこの上ありません。この比喩表現かえって分かりにくいか?

要は、公平に与えられた模試というフィードバックの機会を捨てて一発勝負するのは本当に精神に悪いのでやめましょうということです。



さて、高3の間に起きたことを逐一書いていたら猿でもシェークスピアをタイプできるような時間が必要になりますし、受験に関連することも「絶対に落ちる」と「いうてさすがに受かる」の割合が多少上下するくらいで書くべき面白い内容がほぼないので、やったことを列挙していきます。全体的な傾向として、受験本番が近づくごとに「絶対に落ちる」という気持ちの割合が高くなっていきました。

勉強の方針

とにかく受験勉強というものが嫌いでした。もちろん全てが無意味というわけではないのですが、大学での学問を念頭に置いたときに、あまりにも空虚な作業が多すぎると思いませんか?

……というのはただの言い訳で、単に私が怠惰を絵に描いたような人間だったというだけです。

というわけで、少なくとも理系科目に関しては、量よりも質を重視しました。とにかく勉強の質を高め、まずは高校範囲を隅々までしっかり理解しつつ少数の問題を解いて最大限の能力を獲得することに努めました。その結果、その後の問題演習も最大効率でこなせたような気がします。問題集の数もかなり少なく抑えました。

あくまで「割とうまくいった気がするだけ」なので参考にするなら自己責任でどうぞ。ただし一般に「問題集をやたら解きちらかしても得るものは少ない」とはよく言われているので、この部分だけはそこそこ汎用的かつ参考にできる方針かもしれません。



これは余談ですが、図書館で勉強するのはけっこうおすすめです。もちろん地域によって事情は違うと思いますが。大阪市の場合、普通の市立図書館も悪くないんですが、大阪市立中央図書館は自習者向けスペースがちゃんと整備されていて特に最高でした。気分が滅入ったら日本でも有数の蔵書を誇る書庫に突撃して気分転換できるのもプラスポイント。ただし本に埋もれて肝心の勉強が疎かにならないように気をつけましょう。あと土日は混みます。たぶん開館凸かダメ元で適当な時間に行くかの二択です。


ところで、大阪市立中央図書館を知ったのはこの記事のおかげでした。

rouninmillion.hatenablog.com

受験は私にとってかなり孤独な戦いでした。なので、自分とかなり通じるところがある(気質とかが似ている)先輩が自分の道を貫き通して合格した実際の体験談を読んで心の支えにしていました。直前期で心がしんどいときなんか特に。

さらに、具体的な勉強法などもかなり参考にしました。そもそも後述の「入試数学の掌握」や「理論物理の道標」はこの記事で知りましたし。量より質とか発展的な学習で全体像を掴むとか完全にそのまんまですし。パクりました

過去問演習

自分でやったのは物理(1年)、化学(1年)、数学(27ヶ年をそれなりに)です。現代文は東進に放任、化学は……正直勉強しなくてもある程度いけると思ってました。無理だったね、結局。

国語(現代文)

東進の某有名現代文講師の授業を受けました。あの授業のポイントはただ1つ、「文章の論理を厳密に追って読解し過不足なく文章に起こせ」ということです。私の場合は「別に論理的読解力がないわけではないが文章になると漫然と読んでしまう」「答案を適当に書いてしまい論理がずれがち」という悪癖があったので、ここらへんを直しました。

国語(古文)

東進の授業を受けていました。効果があったかは知りません。適当に単語帳を見たり文法書を読んだりしました。足を引っ張らない程度には点を取れていたはずです。

数学

東進や駿台の数学演習みたいな講座に行ったりしました。これが私の実力向上に寄与していたかは正直わかりません。受けながら「この授業は正直自分でやりさえすれば受ける必要どこにもないな」と思ったのですが、自分でやれないからこんなとこにいるんですよ。

さらに、11月になってからは「入試数学の掌握」という本をやりました。3巻構成なのですが、とりあえず2巻まで。

テーマ別演習① 入試数学の掌握 総論編 (YELL books テーマ別演習 1)

テーマ別演習① 入試数学の掌握 総論編 (YELL books テーマ別演習 1)

  • 作者:近藤至徳
  • 発売日: 2011/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
テーマ別演習② 入試数学の掌握 各論錬磨編 

テーマ別演習② 入試数学の掌握 各論錬磨編 

  • 作者:近藤至徳
  • 発売日: 2012/01/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
テーマ別演習3 入試数学の掌握 各論実戦編

テーマ別演習3 入試数学の掌握 各論実戦編


この本は正直なところレベルが高いです。表紙には「君の数学力を理Ⅲ・京医・阪医合格レベルに導く究極の指南書」って書いてるし、基礎すらおぼつかない数学ダメダメの私みたいな受験生が読んで意味があるのか怪しむ人もいるでしょう。

ただ、私には問題をたくさん解いて自分なりの「解法選択の方法論」を構築する時間なんてありませんでしたし、ジュンク堂で軽く立ち読みした瞬間「この本に通底する数学の解き方に対する考え方は自分にとても合っている」と感じました。この本を使うのなら問題1問1問にしっかり向き合い、解法の1行1行、解説の1行1行をしっかり噛み砕くべきなのですが、私には問題をたくさん解くアプローチよりこっちの方が向いていると思ったわけです。自分の気質からしても、さらにやる気の面から考えてもこれは正解だったと思います。問題をたくさん解くというのは私みたいな怠惰で数をこなせない人間には無理

ああ、そういや駿台で雲孝夫という先生の「東大数学全問完答のためのストラテジー」なる講座を取りました。私は正直全完なんて狙えるレベルでは全然ないのですが、それでも時間配分や問題の解き進め方、解き方がわからない大問から撤退するタイミングなどの話はすごく参考になりました。実際に本番でどう時間を配分してどういう順番で解いたかなんて何も覚えてないけど

直前期には、「入試数学の掌握」を読んで学んだ内容を踏まえながら、数学の赤本を各分野まんべんなく解いていきました。あの本の内容はいかんせん旧課程なので、行列が入っているかわりに複素数が入っておらず、その分の空白を埋めるために複素数の章は全問解きました。とはいえ5,6問くらいしかなかったと思います。そもそも複素数で特別なところは共役と代数方程式の解くらいで、他は結局図形や通過領域などの問題に帰着できるわけですから。

英語

ロシア語をやりすぎた結果、英語の冠詞や時制の感覚が崩壊してしまいました。ロシア語に冠詞はないですし、時制が単純なかわりに「体」(アスペクト)というものを利用して完了とか経験などのニュアンスを表すので、このあたりを混同してしまうと書いた英語が破綻するわけです。

さらに、私は英文法がひたすら苦手でした。文構造すらちょっと難しくなった瞬間に把握できなくなりました。ロシア語ではむしろ文法を懇切丁寧にやるタイプだったのに、英語は無理でしたね……

一応東進や駿台の授業を多少受けたりはしたんですが、特に点数は上がりませんでした……悲しいです。もちろん「東進や駿台の英語の授業は無意味」なんて主張したいわけじゃなくて、私がひたすら雑魚だったというだけです。勘違いしないでくださいね。

英語の論説文に出てくる話題の大半は推測が効くので、推測力を最大限に発揮すれば英語が読めなくてもある程度の点数は取れる……かもしれません。本当はそんなことやっちゃダメなんですけどね。

一応、二次試験数日前に英文解釈の本を近所のジュンク堂で立ち読みしたりはしました。効果があったかは微妙でしたが。

物理

某名物講師の授業を東進の東大特進で受講しました。物理の考え方や†本質†を掴むのに有効で本当にいい授業だったと思います。物理でまともな点数を取れたのはこの授業のおかげです。掛け値なしに。

物理の基礎をこの講座で固めて、二次試験3週間前から「難問題の系統とその解き方」の力学と電磁気学の例題を全部解きました。本に載っている解答よりも簡潔に答えられた問題もあって、かなり成長を感じました。たとえば力学の場合、剛体おのおのの運動方程式と束縛条件を連立すれば最悪解けるんですが、エネルギー保存や運動量保存(重心速度保存)、また二体問題の場合は相対速度と重心速度への分解などの性質を使えば割と簡単に答えられる問題もあるわけです。


あと、物理を深く理解したい人は「理論物理への道標」という本をチェックしてみると幸せなことがあるかもしれません。私はやったことがないのですが、良著と聞いています。


……え、熱力学と波動と原子物理学? まあ、その、時間がなかったので……いやもちろん最低限はやりましたよ? ええ。

化学

一応化学の資料集(300ページくらい)を通読したり「入試問題集2019」みたいな問題集を解いたりはしました。意味があったかは知りませんが、受験化学はしょせんクソゲーなので(個人の感想です)これくらいでよかったと思います。本気出す時間があったらアトキンスかマクマリーでも読んどきゃいい。(個人の感想です)

まあ、変なプライドを捨ててとりあえず取れる問題からささっと取ってしまうのがいいと思います。時間かけてちょい難しめの問題を解いたとしても大した点は得られないですし。しょせんクソゲーだからね。(何度も書きますが反抗的逆張りオタク個人の感想です)

受験校の選定

まず、私立大学はそもそも選択肢にありませんでした。どうせ学費が高いので。前期は東大で、家の方針で浪人もできないので後期の選択が問題です。もともとは神戸大学理学部化学科あたりを考えていたのですが、合格する人数が少ない上に科目が英語と数学で、英語と数学が得意でない私には絶対無理です。結局、いろいろ考えて北海道大学理学部化学科を受ける決意を固めました。配点が化学200点物理100点で私でも比較的得点できそうですし、定員が23人と多めですし。あと札幌はそのうち住んでみたい街だったので。

……ちなみに、3月に予定されていたウラジオストク旅行と後期の合格手続きがきわどい時期にあり、家族より先に帰国して間に合うか祖父母に来てもらうかとか、そこまでして後期を受ける必要があるのかとか、とにかくいろいろありました……まあ全部コロカスのせいで吹っ飛んだんですけど。

それと後期受験のための飛行機とホテルは合格発表が出てから手配することになっていました。なんと前日手配。まあ前期で合格すると飛行機とホテルの分が無駄になっちゃうからね、仕方ないね。

センター試験直前期

yuyusuki.hatenablog.com

センター試験数日前まで艦これのイベントがあり、そちらに全力投球していました。さらにイベントが終わった瞬間に次のイベントが始まったので、もちろんちゃんと毎日プレイしていました。あとはひたすらTwitterをしていました。あと「恋する小惑星」を毎週見ていました。恋アスはいいぞ。

www.amazon.co.jp
anime.dmkt-sp.jp

この記事を書くためにツイートを見返したのですが、本当に受験生の痕跡がないですね。どうも「受験生をやっている姿はツイッターで見せたくない、でもFFの人に心配をかけたくないからある程度は報告する」みたいな気持ちがあったようです。このオタクTwitterで艦これと旧ソ連とオタクコンテンツの話しかしてへん。受験直前でも艦これやるしメロンブックス行って同人誌とラノベ漁るし。

寝ろ。

センター試験

センター試験というのはツイッタラーにとって大事な時期なので、とにかく切れ味の鋭い端的なネタツイを心がけてふぁぼとRTを稼ぐようにしました。ただでさえセンター試験効果で伸びやすい環境になっているのですから。

会場は神戸大学でした。山の上です。そして名前順のはずなのに私だけ一番前に配置されました。名前順ならかなり後ろの方のはずなのに。
おそらく外国語の別冊を要求したのが原因だと思います。それくらいしか変なことをしていないので。

さすがに本番ともなれば緊張するかと思ったのですが、本当に模試みたいな感覚で受けてしまいました。

さて、結果です。

国語 180
世界史 88
英語(筆記) 179
数学1A 96
数学2B 83
物理 95
化学 94

合計 815/900

割と良かったです。センター試験の点数はそこまで影響しないとはいえ、点数が高くて困ることはありませんからね。

自己採点のときももうちょっと動揺したり焦ったりそわそわしたりするかと思ったのですが、良い科目でも悪い科目でもひたすら明鏡止水の境地でした。

直前期

艦これの節分イベントがあったので艦これは毎日やっていました。いや冷静に考えるとイベントがなくても毎日やってますね。あと歩いて日本橋に行き同人誌やライトノベルを漁っていました。もちろん恋アスは毎週見てました。

そして、この時期は学校がなく、2月の12日までは定期券が生きていて、当然まだ学生証は有効でした。というわけで、ハイスクール・フリートの本編とOVAを見た上で2月5日に梅田の映画館で劇場版を見ました。アニメ12話(これは見るの2回目)+OVA2話(前編は2回目、後編は初視聴)+映画を受験直前にキメるのはすごく楽しかったですね。映画はアクションシーンが大迫力だったので劇場で見れてよかったですし、今回も副長が最高にかっこよかった。結局4DXを逃したのは後悔ですけど……

どうでもいいですが、後期の出願がギリギリになって焦りました。いや焦ってはいないですね。「出願失敗したらしたでTwitterのネタになって美味しいwww」って思ってました。人生を切り売りしてRTとふぁぼに「換金」するTwitter芸人ここに極まれり。
とにかく、北海道は遠いので余裕をみて発送しましょうね。まあ間に合ったんでいいんですけど。


最後の2週間は基本的に1日に3,4時間勉強していました。9時に起きてTwitterと艦これをやり、13時か14時くらいに徐々にエンジンがかかり始め、15時とか16時から19時20時くらいまで勉強というリズムです。もちろん集中力だけを考えたらもっと長くても楽勝なんですけれど——集中力くらいしか誇れるものがない人間なので——、エンジンがかかるのが遅すぎる上に食事や入浴や睡眠などの時間がある程度決まっているため、これくらいしか勉強できませんでした。そして夕食を食べた段階でエンジンが切れてしまいあとは2時くらいに寝るまで艦これとTwitterしかできません。カス。

まあ、時間はともかくこんなに継続的に勉強したのは本当に久しぶりでした。
なお、もともと休日は12時間以上Twitterするような中毒者だったので、毎日が休日のような受験直前期間に突入してしまうと、気が抜くとつい1秒も勉強せず12時間Twitterと艦これをしてしまうんですよね。Twitterを見る限りでは9日前とか3日前とかがそんな感じだったようです。継続的に勉強できてないじゃん。カス。


それと、東大理系の全科目の赤本が部室に放置されていて誰も使う気配がなかったのでもらう予定だったのですが、登校日には持って帰るのを忘れて部室に放置したし、その後もいろいろタイミングが合わず、結局部室に回収に行く前に定期券が切れてしまいました。
俺は たった今から 過去問を捨てる!

二次試験

yuyusuki.hatenablog.com

1行でまとめるなら、「全然緊張しなかった」「本郷のロシア料理店が美味しかった」「本郷の蘭州牛肉麺店が美味しかった」です。

合格発表まで

なんか割とうまくいった気もするし、一方で普通に落ちた気もするので、何も考えず普通に生活していました。

この時期に同級生と出雲地域に旅行しました。まだこの頃は「こっちじゃ新型肺炎の患者まだいないよ、大阪は大変そうだねえ」って店の人と会話できる程度には牧歌的だったのです。出雲そばが美味しかったです。普段1年に1回、年越しくらいでしかそばを食べない人間が毎日そばを食べる異常な3日間でした。

あ、あと合格発表の前日に同級生と六甲山に登りに行ったりしました。六甲山はいいぞ。

合格発表

yuyusuki.hatenablog.com

合格しました。一緒に六甲山に登った同級生も全員合格していました。正直本番よりも待ってるときの方が緊張しましたね。

……お前なんで受かったん?

開示

国語 44
外国語(英語) 69
数学 65
物理 37
化学 29
センター 815/900(99.6111/110)

合計 343.6111/550

合格者最低点 320.7222
合格者平均点 352.5810

講評

「どれだけ手を抜いて東大に合格できるかチキンレース」とかほざいていた割には最低点より20点ちょい上なんですけど。なんで?


国語は予想外の高得点が出ました。東進さまさまとしか言いようがありません。
英語は順当でしょう。102点は本当に偶然の産物だったということですね。

数学はやたら高い点数が出ました。普通の人ならともかく、私が数弱ということを考えると驚異的です。数学力が上がった結果なら嬉しいのですが、単に自分の得意な問題ばっかりだった可能性も普通にあります。うーん……

物理も高得点でした。どうもちょっと傾向が変わったらしいのですが、過去問にこだわりすぎず物理の†本質†をちゃんと理解した上で問題に向き合っていればそれなりの点数が取れる問題セットだったのが幸いしたようです。だいたい、傾向が変わっても過去問を1年しか解いてない私にはダメージがないんですよ。(最悪)

化学はまあこんなものでしょう。本当に普通の点数です。有機化学をまともに解けなかったのが敗因なので、そこをもうちょっと取れてればまともな点数になったとは思いますが、過ぎたことをああだこうだ言っても仕方がありません。そもそも化学オリンピックのときも有機化学は苦手だったし、糖とか酵素あたりの知識はめちゃくちゃ薄かったんです……


なんというか、合格点が想定より低かった上に上振れしたので、ヌルゲーだったように見えてしまいます。どうせ真面目にやってなかったんだしひょっとしてもっと手を抜いても大丈夫だった……? と思ったりもするのですが、それは結果論です。受験には運の要素がある上に試行が1年に1回限りなので、可能な限り合格確率を上げてサイコロに左右される範囲を狭めておくのが常道です。私は怠惰すぎたので50%か70%のコイントス1発に全てを賭けました。馬鹿?

おわりに

駄文を生成するついでに今までの受験生生活を振り返ってみたのですが、正直なところ「ナメプするのも限界があるだろ」という気持ちにしかなりませんでした。ただ、行動はナメプそのものなのですが、自分の体感としてはかなりしんどかったです。勉強は別にしんどくなかったものの、自らの愚行により精神をそこそこ追い込んでしまいました。


本年度の限界受験生各位におかれましては、勉強量と合格確率だけでなく、精神的な負荷や人間関係への影響のような他のコスト・ダメージなども考慮して全体最適化をかけるのを推奨します。


受験はカス!w



余談

ドイツ語やフランス語がある程度できて、かつ英語にあまり自信がない人は外国語の大問4,5だけをフランス語やドイツ語に差し替えると幸せになれるかもしれません。中国語と韓国朝鮮語でも同様のことは可能なのですが、実際にどれくらいのレベルなのかは知りません。中国語はかなり難しく母語話者でもないと厳しいと聞いているのですが。気になる人は「東大 外国語 差し替え」などと検索してみましょう。

別に問題が簡単というわけではないのですが、ずいぶん時間に余裕ができるようです。鬼のような速度を求められる東大英語において時間が稼げるというのはかなりアドバンテージだと思います。

frenchjuken.hatenablog.com

あと、前述の浪人生の合格体験記にもフランス語差し替えの話が載っていましたね。

rouninmillion.hatenablog.com

私の場合は、ゼロからドイツ語を学ぶのに時間を費やすよりは(ドイツ語とフランス語だったら私はドイツ語を選びます)外国語を諦めて数学や物理に時間を使った方がいいと判断しました。とはいえ、今思えばドイツ語をやってればよかったかなあと思わないことはないですが……受かったからなんとでも言えるというそれだけの話では?